内縁関係とは、役所に婚姻届を提出していないものの夫婦と変わらない関係にある男女をいいます。事実婚も意味は内縁と変わりません。
「内縁の夫が亡くなった場合、内縁の妻には相続権があるのか?」
「内縁の夫との間に子がいる場合、その子に相続権があるのか?」
今回は、内縁関係にある人の相続について解説していきます。

目次
1.内縁の妻は法定相続人になれるのか?
1.1.内縁の妻には相続権がない
1.2.内縁の妻の子どもは相続人になれる?

2.内縁の妻が財産を受けられる場合は?
2.1.生前贈与・生命保険
2.2.遺族年金

3.内縁関係の夫婦で相続をする方法
3.1.特別縁故者として認められる場合
3.2.遺言書がある場合

4.まとめ

1.内縁の妻は法定相続人になれるのか?

内縁の妻は、法律上の妻と同様に保護される部分はありますが、保護されない部分もあります。その筆頭が相続権となります。

1.1.内縁の妻には相続権がない

内縁の妻は法定相続人になれません。たとえ、何十年と寄り添い、被相続人の介護を毎日続けていた関係だとしても、原則的には財産を受け取ることができません。婚姻届を出すか出さないかだけの差ですが、法律上の婚姻関係には強い効力があるといえます。ただし、一定の条件がそろえば、内縁の妻が遺産を受け取ることができる場合があります。

1.2.内縁の妻の子どもは相続人になれる?

被相続人と内縁の妻との間に子どもがいた場合は?婚姻関係のない間に生まれた子どもは「非摘出子」と言います。原則、相続権がありません。しかし、非摘出子は認知されることで相続人となれます。被相続人と血の繋がりがない「内縁の妻の連れ子」の場合は、養子縁組をしていれば相続人として認められることになります。なお、非摘出子と摘出子の相続分は同じです。

現時点で認知されていなければ相続の権利はないと思われるかも知れませんが、被相続人が亡くなった後でも一定の条件下で認知を請求することができます(死後認知)。被相続人が遺言書に認知するような記載があった場合や、子ども本人や内縁の妻が被相続人の死後3年以内に認知を求める裁判を起こせば、認知が認められることがあります。このような場合、内縁の妻の子どもは正当な相続人となります。遺産分割協議をおこなう場合、参加とともに合意してもらえなければ、遺産の分割ができないということになります。

2.内縁の妻が財産を受けられる場合は?

内縁の妻は原則、相続人になることはできません。しかし、遺産を受け取ることができる場合を具体的にご紹介します。

2.1.生前贈与・生命保険など

以下のような方法で内縁の妻が財産を受け取ることができます。

生前贈与

被相続人が生きている間に財産を贈与します。一定額を超えてしまった贈与は、遺留分侵害額請求をされることがあります。

死因贈与

贈与者の死亡により効力を発揮する贈与契約です。死因贈与は、口頭での約束によっても成立しますが、贈与者が死亡後、相続人は書面がない死因贈与については履行が完了前であれば撤回することが可能となる場合もあります。

生命保険金の受取者指定

被相続人が加入していた生命保険金の受取人を内縁の妻に指定していた場合です。内縁の妻が受取人になれるかは生命保険会社や商品によって異なります。

2.2.遺族年金

遺族年金とは、生計を維持していた方が亡くなった場合、残された遺族が受けることができる年金のことです。年金法における「配偶者」とは、「事実婚関係にある者」を含むとされています。内縁関係と生計維持関係が認められれば、遺族年金を受け取れる場合があります。

3.内縁関係の夫婦で相続をする方法

内縁関係の夫婦で相続をする方法として以下の方法が考えられます。

3.1.特別縁故者として認められる場合

特別縁故者とは、法定相続人がいない場合、被相続人の生前において、身の回りの世話をしていた者や生計を共にしていた者のことをいい、特別に相続権を認められる者のことをいいます。法定相続人が全員亡くなっている場合、法定相続人が全員相続放棄した場合などに、特別縁故者として該当するケースがあります。この場合、家庭裁判所へ特別縁故者の申し立てをおこない、認められれば特別縁故者となることができます。

3.2.遺言書がある場合

遺言書がある場合、内縁の妻も財産を受け取ることができます。しかし、遺言書に「内縁の妻に全財産を相続させる」と書かれていた場合には注意が必要です。遺言であっても、他の相続人の「遺留分」を侵害することはできません。遺留分とは、法定相続人のために確保されている最低限の遺産取り分のことです。民法第1028条に定められており、具体的には、配偶者・子ども・直系尊属(父母、祖父母など)が遺留分を主張することができます。法定相続人が子どもひとりだけだった場合、相続財産2分の1が子どもの遺留分となります。遺留分を侵害する遺言をされた場合は、のちに相続人と遺留分について紛争が生じる場合もあります。

3.まとめ

今回は、内縁の妻に相続権はあるのかについて解説させて頂きました。亡くなった父親に内縁の妻や子どもがいた場合、相続争いで大きなトラブルになるおそれがあります。このような場合には、深刻な状況になる前に専門家などに相談することが良いでしょう。

 

司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、相続手続きに関するご相談や、ご依頼を数多く扱っており、実務においても、相続手続きに経験豊富な司法書士、弁護士、行政書士、税理士、土地家屋調査士、相続診断士、CFP 等の専門家がご依頼の内容に全力で取り組みます。
また、弊所では大阪(阿倍野区・天王寺)、東京(渋谷区・恵比寿)事務所にて「無料相談・出張相談」も受け付けております。どんな些細なご相談も親身になり耳を傾け、どのようなご依頼でもお客様のご希望、目的に近づけるよう励みます。お気軽にご相談、お問い合わせください。

「よくあるご相談」
相続、家族信託、民事信託、生前贈与、認知症対策、遺言書作成、遺産分割、相続放棄、不動産登記、名義変更、等数多くの書類作成、申請などをおこなっております。

相続サイト
所在地
  • 大阪市阿倍野区阿倍野筋三丁目10番1号 あべのベルタ 3009号
  • 東京都渋谷区東3-6-18 プライムハウス 203号
問い合わせ
その他
  • 受付時間 9:00 ~ 20:00
  • 土日祝日:10:00~18:00
  • 電話予約により時間外対応可能

著者情報

代表 柳本 良太

お問い合わせ

 

    <資格>

  • 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
  • 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
  • 2009年 司法書士試験合格
  • 2010年 行政書士試験合格
司法書士法人やなぎ総合法務事務所運営の相続・家族信託相談所