住宅ローンの返済が完了する前に債務者が亡くなった場合、
「住宅ローンをどうやって返済していけばいいの?」
「子どもが住宅ローンを支払わないようにするにはどうしたらいいの?」
等の疑問をお持ちの方もおられると思います。

住宅ローンの相続や債務者を一人にする方法等について説明していきますので、住宅ローンの相続についてお困りの方は本ブログを参考にしていただけると幸いです。

 

目次

住宅ローンは相続されるの?

住宅ローンの相続の原則

相続においては、家や土地、預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金や住宅ローンなどのマイナスの財産も相続の対象となります。被相続人が亡くなった際、銀行や消費者金融、親族、知人などに対してローン債務を負っている場合、相続人はこれらの債務を「当然分割」という形で法定相続分に従って引き継ぎます。

「当然分割」とは?

「当然分割」とは、遺産分割の手続きを経ることなく、相続債務が自動的に法定相続分に従って相続人間で分割されることを指します。

例えば、被相続人が1000万円のローン債務を負っていた場合、相続人が2人であれば、各々が500万円ずつを引き継ぐことになります。この分割は法定相続分に基づくため、相続人はその請求を原則として拒むことはできません。

債務者を一人にする方法

子に住宅ローンを支払わなくてもいいようにしたい」とご希望される方もおられると思います。以下では債務者を一人にする方法について説明していきます。

遺産分割協議で承継者を定める

相続人の間での話し合いにより、ローン債務を特定の相続人が引き継ぐことを決めることができます。ただし、法律上のローン債務は「当然分割」されるため、債権者に対してこの合意を強制することはできません。もしも債権者から請求があった場合は、債権者からの請求に応じて支払い、その後相続人の間で精算を行うことになります。

遺言書で承継者を定める

被相続人が遺言書で特定の相続人にローン債務を引き継がせる旨を記載しても、法定相続分に基づく債務分割には影響を与えません。遺言書の内容は相続人の間での合意に過ぎず、債権者に対する効力はありません。

免責的債務引受

「免責的債務引受」とは、旧債務者、新債務者、債権者の三者間で契約を結び、旧債務者の債務を新債務者が引き継ぐものです。この契約には債権者の同意が必要ですが、債権者としても、別々に債権を取り立てる手間が省けるメリットがあります。

 

相続人が支払い能力がない場合

 ローンを引き継いだ場合でも返済を続ける必要がない場合があります。以下では団体信用生命保険について説明していきます。

団体信用生命保険がついている場合

住宅ローンに団体信用生命保険が付いている場合、加入者が死亡すると保険金でローンが弁済されます。これにより相続人がローン返済を続ける必要がなくなります。団体信用生命保険に加入しているかどうかは、住宅ローンを借りた金融機関や契約書等で確認できます。

団体信用生命保険がついていない場合

団体信用生命保険がない場合、免責的債務引受にて支払い能力のある相続人に債務を引き継いでもらうことや相続放棄等の方法を検討する必要があります。

住宅ローンを相続放棄する方法

以下では住宅ローンを相続放棄する方法について説明していきます。

法定相続人の権利と手続き

相続放棄と限定承認

相続人はすべての財産の承継を拒否する相続放棄という選択肢があります。

プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法が限定承認と言いますが、手続きが複雑で利用をする人は少ないです。

どちらも相続の開始を知ってから3カ月以内に選択する必要があります。

みなし単純承認に注意

相続人が亡くなった人(被相続人)のプラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継ぐ相続方法単純承認と言います。これは特別な手続きは必要なく、相続の開始を知ってから3カ月以内に他の選択をしない場合、自動的に単純承認となります。

しかし、相続財産を処分したり隠したりすると、単純承認したとみなされることがあります。これを「みなし単純承認」といい、この場合、相続放棄や限定承認は無効となるため注意が必要です。

 

相続放棄の期限と方法

申述人:
相続放棄を行うのは相続人ですが、未成年者や成年被後見人の場合は法定代理人が代理します。複数の未成年者がいる場合に一部の未成年者を代理して申述するときには、特別代理人の選任が必要です。

申述期間:
相続の開始を知った日から3か月以内に手続きを行う必要があります。

申述先:
被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。

必要な費用:
収入印紙800円と郵便切手(裁判所により異なります)が必要です。

必要な書類:
相続放棄の申述書と標準的な申立添付書類が求められます。共通して必要な書類には被相続人の住民票除票や戸籍附票、申述人の戸籍謄本などがあります。具体的な状況に応じて追加の戸籍書類が必要です。

相続して住宅ローンを処理する場合

 住宅ローンを相続したものの、同一条件での住宅ローンの返済が難しい場合、住宅ローン返済方法として以下の方法が挙げられます。

支払い方法の見直し

金融機関に相談して住宅ローンの返済条件を見直して毎月の支払額を減額してもらう方法が考えられます。金融機関は、無理な返済を続けて返済不能になるよりも、返済期間が延びても確実に返済してもらえる方が好ましいため、交渉や相談に応じてもらえる可能性があります。

住宅の売却

住宅を売却した金銭で住宅ローンを返済することも方法として考えられます。しかし、売却価格と残債務の金額によっては、債務が残ってしまう場合もあります。

まとめ

住宅ローンは相続の対象となり、法定相続分に基づき相続人が引き継ぐことになります。相続放棄や免責的債務引受を利用することで、負担を一人に集中させる方法もありますが、法的な手続きが必要です。
団体信用生命保険がついていれば、ローンは保険金で弁済されるため、相続人の負担は軽減されます。相続の際には、プラスとマイナスの財産をしっかりと確認し、適切な対策を講じることが重要です。

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著者情報

代表 柳本 良太

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    <資格>

  • 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
  • 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
  • 2009年 司法書士試験合格
  • 2010年 行政書士試験合格
司法書士法人やなぎ総合法務事務所運営の相続・家族信託相談所