相続財産の評価方法
目次
1 相続財産の評価が必要な理由
・具体的相続分の確定
・遺産分割
・相続税
2 不動産の評価方法
不動産の評価方法の種類
・実勢価格
・地価公示価格(公示地価)
・固定資産税評価額
・基準地価
3 株式の評価方法
・上場株式の評価方法
・取引相場のない株式の評価方法
相続財産の評価が必要な理由
具体的相続分の確定
相続において法定相続分や遺留分は、遺産全体に対して金銭評価を行ったうえで、その総額を用いて計算します。つまり、法定相続分や遺留分を計算するためには、相続財産の評価額を確定しなければなりません。なお法定相続分とは、民法に定められる相続分のことをいい、被相続人の遺言がない場合に適用されます。 遺留分とは、被相続人が有していた相続財産につき、民法で定められた割合を配偶者や子(孫も含む)、直系尊属に保障する制度です。
遺産分割
相続人間で遺産分割を行うにあたり現物分割や代償分割を行う場合、調停等でもめた場合は別ですが、基本的には遺産分割時を基準として相続財産の評価をする必要があります。相続財産を金銭的に評価しなければ各相続人の具体的相続分の額に相当する不動産等を割り付けることができず、代償金も算定することができないためです。
相続税
相続税は申告納税制度であるため相続人が相続財産を評価することになります。相続税申告を行うにあたっては、相続開始時点の時価で相続財産の評価をします。つまり、故人が亡くなった日の時価で評価します。したがって相続税の課税額を知るためには相続財産の評価をする必要があります。
不動産の評価方法
不動産の評価方法の種類
不動産の評価方法は複数存在します。具体的には下記があります。
- 実勢価格
- 地価公示価格(公示地価)
- 路線価(相続税評価額)
- 固定資産税評価額
- 基準地価
●実勢価格
実勢価格とは、実際の土地売買において取引された価格をいいます。取引価格または時価などと呼ばれています。売主と買主との交渉によって価格が決まるため、価格が随時変動する性質があります。実勢価格の調べ方は①土地総合情報システムという国土交通省が運営しているサイトで、過去の不動産の取引価格を閲覧する②レインズマーケットインフォメーションで、過去の不動産取引価格を調べる③不動産会社に査定を依頼するなどがあります。
●地価公示価格(公示地価)
地価公示価格とは、地価公示法に基づいて国土交通省が毎年発表する価格をいいます。
全国にある標準地の毎年1月1日時点の地価を鑑定し、発表されます。鑑定は、複数の不動産鑑定士により行われます。その後国土交通省の土地鑑定委員会により審議され地価公示価格が決定されます。地価公示価格は、国土交通省のサイトで調べることが可能です。
●固定資産税評価額
固定資産税評価額は、固定資産税を計算するときに使われる評価額です。各市町村が算定し公表します。固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書が不動産を所有している人に毎年送付されるため固定資産税の納税通知書で確認することができます。
●基準地価
基準地価とは国土利用契約法に基づいて都道府県知事が毎年発表する価格をいいます。各都道府県が管轄していることから、都道府県基準地標準価格とも呼ばれています。7月1日時点での各都道府県内に定められた基準地1平方メートルあたりの価格が調査され、毎年9月に発表されます。基準地価は、国土交通省の土地総合情報システムで調べることが可能です。
株式の評価方法
上場株式の評価方法
金融商品取引所に上場されている株式を上場株式といいます。株式が上場されている金融商品取引所が公表する課税時期(相続または遺贈の場合は被相続人の死亡の日)の最終価格によって上場株式は、評価されます。ただし、課税時期の最終価格が、次の3つの価額のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額により評価することになります。具体的には①課税時期の月の毎日の最終価格の平均額②課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額③課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額です。なお、課税時期に最終価格がない場合等は、一定の修正をすることになっています。以上が原則ですが、例外もあります。
取引相場のない株式の評価方法
取引相場のない株式は上場株式のように客観的な評価がなく、相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等か、それ以外の株主かの区分によって、それぞれ原則的評価方式または特例的な評価方式の配当還元方式により評価することになります。
原則的評価方式は、評価する株式を発行した会社を総資産価額、従業員数および取引金額等により大会社、中会社または小会社のいずれかに区分して評価をすることになっています。
なお、同族株主以外の株主が取得した株式については、その株式の発行会社の規模にかかわらず原則的評価方式に代えて特例的な評価方式の配当還元方式で評価することとなる場合があります。
まとめ
相続財産の評価は専門性が高く複雑であるため、調査漏れという事態を防ぐためにも、各種専門家にお願いすることが安全であると思われます。
司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、相続に関するご相談や、ご依頼を数多く扱っており、実務においても手続きに経験豊富な司法書士、弁護士、行政書士、税理士、土地家屋調査士、相続診断士、CFP 等の専門家がご依頼の内容に全力で取り組みます。
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著者情報
代表 柳本 良太
- <所属>
- 司法書士法人 やなぎ総合法務事務所 代表社員
- 行政書士法人 やなぎKAJIグループ 代表社員
- やなぎコンサルティングオフィス株式会社 代表取締役
- 桜ことのは日本語学院 代表理事
- LEC東京リーガルマインド資格学校 元専任講師
- <資格>
- 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
- 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
- 2009年 司法書士試験合格
- 2010年 行政書士試験合格