自筆証書遺言を作成したものの、不備があり法的効力がないことがあります。しかし、この自筆証書遺言が法的な効力がないと判明したときには既に、遺言者が亡くなった後になりますので、結果的に取り返しがつかなくなってしまいます。今回は、自筆証書遺言の失敗例について解説します。

 

目次

1.法務省による遺言保管制度の利用状況

自筆証書遺言保管制度の利用率が法務省から発表されており、月別の利用率を見ていると、9か月で約1万6000件の利用があり、利用率の高さが伺えます。その一方で、自筆証書遺言の保管制度を利用しても、その内容が法律的に有効なものや実際使えるものでなければ、意味の無いものとなったり、紛争が発生して結局無効なものとなったりすることもあります。

2.自筆証書遺言の失敗例

住所によって不動産を記入してしまった

例えば、「私が所有している大阪市阿倍野区1-2-3の自宅を、長男の一郎へ相続します。」と遺言書に記入される方がいます。不動産を記入する場合、登記簿謄本に記載された地番と家屋番号を記入しなければなりません。分譲などで、複数の棟を販売するような場合に、お隣と住所が同じということも世の中にはあります。不動産を記入する場合、住所を記入せず、不動産登記簿のとおりに記入しましょう。ただし、法務局の判断によって、遺言全体の解釈などによっては受理される可能性もあります。

 

建物を記入していなかった

例えば、「私が所有している大阪府大阪市阿倍野区1丁目123番の土地は長男の一郎が、大阪府大阪市天王寺区2丁目234番の土地は次男の次郎がそれぞれ相続してください。」と遺言書に記入したが、地番の記入によって土地は特定しているものの、建物に関する内容が記入されていません。この遺言では、土地の相続登記はできますが、建物の相続登記はすることができず、遺産分割協議が必要となってしまいます。

 

建物を「託す」や「管理させる」と記入していた

例えば、「私が所有する東京都渋谷区恵比寿1丁目2番3の土地と建物を長男の一郎へ託します。」や「アパートを長男の一郎へ管理させる」と記入してしまった場合も相続登記としての文言としては使えません。託す、管理させるではなく「相続させる」などの文言が適切となります。

 

感謝への思いや気持ちしか記入していなかった

遺言書は、財産承継を書き残すものです。親族に向けて自分の思いや気持ちを記入しても遺言としての法的な効力はありません。遺言として記入するのであれば、財産のことを記入しなければ効力がありませんので、遺言は遺言として、思いや気持ちは手紙として書き残しましょう。

3.まとめ

せっかく遺言書を作成するのですから、法的効力があるものを作成したほうが良いと思います。遺言の内容が曖昧なために争いが起きてしまうことも珍しくありません。遺言の内容については、専門家と相談して作ることがおすすめです。

 

今回は、自筆証書遺言の失敗例について解説させて頂きました。司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、遺言に関するご相談や、ご依頼を数多く扱っており、実務においても、遺言書の作成に経験豊富な司法書士、弁護士、行政書士、税理士、土地家屋調査士、相続診断士、CFP 等の専門スタッフがご依頼の内容に全力で取り組みます。

 

また、弊所では大阪(阿倍野区)、東京(渋谷区)事務所にて「無料相談出張相談」も受け付けております。どんな些細なご相談も親身になり耳を傾け、どのようなご依頼でもお客様のご希望、目的に近づけるよう励みます。お気軽にご相談、お問い合わせください。

 

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代表 柳本 良太

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    <資格>

  • 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
  • 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
  • 2009年 司法書士試験合格
  • 2010年 行政書士試験合格
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