「家族が亡くなったが手続きを何から始めていいかわからない・・・」
という疑問を持たれる方もおられると思います。
今回はご家族が亡くなられた場合に最初にすべき相続手続きについて
役所や銀行ですることを解説と書類の書き方についてもサンプル画像も入れて分かりやすく解説していきたいと思います。

相続手続きや申請書の書き方について知りたい方は本ブログを見て参考にしていただけると幸いです。

 

【目次】

①死亡届・火葬許可申請

相続手続きの初めに死亡届を提出する必要があります。
死亡届を提出しなければ、手続きが進まないことになります。
以下では
死亡届・埋火葬許可証の申請について説明していきます。

〇概要・内容

ご家族や身内の方が亡くなった場合は、死亡届の届出をします。(外国籍の方が日本国内で死亡された場合も死亡届の届出が必要です。)

死亡届により、戸籍に死亡の記載がされ(日本国籍を有する場合のみ)、住民票が消除されます。死亡届が届出されると埋火葬許可証が発行されます。

なお、この手続きに関しては、葬儀会社さんにご葬儀のご依頼をされる場合、葬儀会社さんの方で手続きをしていただくことも多いです。

 

〇届出人・届出期日・届出場所

・届出人

届出義務者は次の順序によって届出をしなければなりません。

 

  1. 同居の親族
  2. 同居の親族以外の同居者
  3. 家主、地主、家屋管理人または土地管理人

 

・届出資格者

届出義務はないが、届出をすることが認められています。

 

同居の親族以外の親族

  • 後見人、保佐人、補助人、または任意後見人
  • 任意後見受任者

(届出に際しては、先順位者がある場合でも後順位者が届出をすることができます。)

 

・届出期日

届出人が死亡の事実を知った日から事実を知った日を含め7日以内です。

(国外で亡くなった場合は3か月以内)

(届出の期日(7日目)が役所の休日の場合、その日以降の最初の開庁日)

 

・届出場所

次のいずれかの市区町村役所へ届出をしてください。

  • 亡くなった方の本籍地
  • 死亡地
  • 届出人の所在地
  • 大阪市の場合、各区役所窓口サービス担当課または区役所出張所

各区役所および東淀川区役所出張所では、休日や時間外でも宿日直で受付けます。

 

〇必要なもの・届出書類

・死亡届書

外国籍の方の場合は、死亡した方の氏名欄にはカタカナ(漢字を使用する場合は漢字)で記入し、その下にローマ字を付記してください。(ローマ字がない場合は、必要ありません。)

 

・死亡診断書または死亡検案書

死亡届書と一体になっており、死亡診断書は病院、死体検案書は警察から発行されます。

 

・届出人が後見人、保佐人、補助人または任意後見人の場合
その資格を証明する後見登記事項証明書または裁判書の謄本

 

・届出人が任意後見受任者の場合
その資格を証明する登記事項証明書または任意後見契約に係る公正証書の謄本

 

死亡届は病院にも置いてある場合がありますが、死亡届を自身で作成する場合は、必ずA3サイズの白紙に印刷し、必要事項を記入して提出しなければなりません。
用紙サイズが違うものや、A4サイズ2枚を張り合わせたものなど指定の規格以外のもの、印刷部分が不鮮明である場合も取り扱いが出来ず、受理されません。

 

 

 ②戸籍の取得

死亡届の提出が終わり戸籍に反映された後、戸籍の収集を開始します。
死亡届を提出後、反映までには少なくとも1週間程、時間を要するため、亡くなった方の戸籍の収集は死亡の記載が反映されているかを役所に確認した後に収集しましょう。
戸籍は財産調査・解約名義変更で必要になる書類です。また、相続人が誰かを確認することができます。
以下では戸籍の収集・財産調査の方法について説明していきます。

 

必要な戸籍

必要な戸籍は個々の事案によって異なります。事案に応じて適切な戸籍を収集しなければ、「相続人が誰かを確定できない」「名義変更の申請が通らない」といったことになります。以下は戸籍について必要な書類をまとめたものです。

 

相続人が配偶者と子

・亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・相続人全員の戸籍謄本

・亡くなった方の住民票除票又は戸籍附票

・相続人全員の住民票又は戸籍附票

 

相続人が配偶者と直系尊属(親・祖父母)

・亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・相続人全員の戸籍謄本

・亡くなった方の住民票除票又は戸籍附票

・相続人全員の住民票又は戸籍附票

 

相続人が配偶者と兄弟姉妹

・亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・亡くなった方の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍と重複するものは不要)

・相続人全員の戸籍謄本

・亡くなった方の住民票除票又は戸籍附票

・相続人全員の住民票又は戸籍附票

 

亡くなった方の住民票除票又は戸籍附票を取得する際に注意することは、亡くなった方が不動産を所有していた場合、亡くなった方の最後の住所と登記簿上の住所が一致するかという点です。


亡くなった方の最後の住所と登記簿上の住所が一致しない場合
登記簿上の住所から亡くなった方の最後の住所まで移転したことがわかる住民票除票又は戸籍附票が必要です。

仮に亡くなった方の最後の住所まで移転したことがわかる住民票除票又は戸籍附票が保存期間の経過等により取得できない場合
名義変更をする不動産の登記済証又は登記識別情報(俗にいう権利証)若しくは上申書という書類を作成する必要があります。また、亡くなった方の住民票除票又は戸籍附票は本籍地入りのもが必要となるので注意が必要です。

なお亡くなった方が遺言を残されている場合は必要戸籍が異なりますので注意が必要です。
詳しくはやなぎ総合法務事務所のブログ(遺贈による所有権移転の手続き!必要書類と記載例)をご覧ください。

 

戸籍の取得方法

戸籍の取得方法は、本籍地のある市区町村役場に申請すると取得が可能です。
亡くなった方の前の戸籍は、最後の本籍地から遡ってそれぞれの市区町村役場に請求をします。
亡くなった方の本籍地が分からない場合は、最初に住民票を取得します。その時に本籍地の表示をしてもらうよう申請し、その情報を頼りに戸籍謄本を取得していきます。

 

住民票の申請書の記載方法は以下のものです。また、手数料は300円です。(大阪市への申請の場合)

上記のように、「本籍地等の表示」にチェックを入れると、下記のように本籍地が記載された住民票を取得することができます。

 

また、住民票や戸籍の取得は郵送で請求することも可能です。その場合、返信用封筒と手数料分の定額小為替を同封しなければなりません。定額小為替はお近くの郵便局でお求めください。

 

次に、住民票の取得によって判明した本籍地に戸籍謄本を請求します。戸籍謄本の取得も本籍地を管轄している市区町村役場に請求をします。

申請書用紙と記入例は以下の通りです。(大阪市のもの)

 

 

上記の申請書を提出した後、下記のような戸籍謄本を取得することができます。

住民票と同様、戸籍の請求にも手数料が発生し、郵送にて請求も可能です。郵送請求の場合、返信用封筒と手数料分の定額小為替を同封します。手数料は現在戸籍は450円、除籍・原戸籍などの古い戸籍は750円です。

 

 

③財産調査

戸籍の収集が完了した後、亡くなった方の財産を調査します。

財産調査をすることで手続き漏れを防ぐことができる他にも、複数の相続人がいる場合に財産をどのように分けるかを決める際の資料にもなります。また、亡くなった方に借金があった場合に相続放棄を検討する資料にもなります。
以下では財産調査の方法について説明していきます。

 

預貯金の調査方法

亡くなった方の自宅から通帳が見つかった場合、まずは金融機関のHPを確認又は電話をします。
なぜ確認・電話をする必要があるかというと、店頭で相続関連の手続をしていない金融機関が存在するからです。確認を怠ると、店頭に行き待たされた上に手続きはできませんと言われ、何もできずに帰るといった事態になりかねません。

 

➀金融機関へ死亡報告・予約をする

金融機関のHPを見てみると亡くなった方の情報などを入力する又は電話で報告してくださいと書かれています。
多くの金融機関では亡くなった方の氏名・生年月日・死亡日・住所・口座番号や相続人の人数・亡くなった方との続柄等の情報を求めてきます。
この報告は店頭でもできますが、店頭ですると時間がかかるので事前に済ませておくことがおすすめです。
また金融機関へ来店する際は必ず予約しましょう。予約をしない場合は長時間待たなければならない場合があります。

 

➁証明書に必要な書類・費用

金融機関は必要書類を提出し、手数料を払うことで亡くなった方の口座の残高を証明する残高証明書を発行してくれます。
必要書類とは亡くなった方の死亡の記載のある戸籍と相続人(金融機関に行く方)の現在戸籍です。手数料は金融機関により異なります。
金融機関の担当者には亡くなった方の口座すべてが記載されている残高証明書が必要なことを伝えましょう。また残高証明書は亡くなった方の死亡日のものを取得しましょう。なお、残高証明書は発行まで時間がかかります。

 

株式の調査方法

➀亡くなった方の自宅と通帳を調査

亡くなった方の通帳を確認し、通帳に配当金等の記載がある場合は亡くなった方が株式を持っていた可能性があります。他にも亡くなった方の自宅に証券会社・信託銀行等の金融機関の取引明細書や年間取引報告書・株主総会に関する連絡などの郵便物がある場合も亡くなった方が株式を持っていた可能性があります。

 

➁証券保管振替機構に調査

証券保管振替機構に必要書類を郵送することで下記の図のような書類が郵送されてきます。

 

上記のマーカーを引いている箇所を見てください。このマーカーを引いている箇所に記載されている証券会社等に問い合わせください。

③必要書類

証券保管振替機構の必要書類は「身分証明書(運転免許証等)」「亡くなった方の死亡の記載のある戸籍と相続人(書類を作成する方)の現在戸籍」「亡くなった方の住所の確認書類」「請求書」です。費用は開示結果により、支払方法は代引きです。なお、戸籍ではなく法定相続情報を使用すると1100円の割引を受けられます。請求書の記載例は下記のとおりです。

 

不動産の調査方法

➀納税通知書

亡くなった方の自宅で権利証があれば一番の手がかりですが固定資産税納税通知書も重要な手がかりです。

固定資産税納税通知書は土地や建物にかかる税金である固定資産税の明細です。固定資産税納税通知書には課税されている不動産の所在について記載があります。

不動産の所在が判明すると法務局で登記簿謄本を取得できるため固定資産税納税通知書は重要な資料となります。

しかし固定資産税納税通知書は課税されていない土地や建物は記載されないため注意が必要です。

 

 

 

➁名寄帳

名寄帳(なよせちょう)とは、市区町村が作成している固定資産税課税台帳を所有者ごとにまとめたものです。例えば、Aさんの名寄帳をX市に請求した場合AさんがX市に持っている不動産がすべて記載されます。見本は以下の通りです(大阪市の場合)。

 

・名寄帳取得に必要な書類

名寄帳取得に必要な書類は「身分証明書(運転免許証等)」「亡くなった方の死亡の記載のある戸籍と相続人(書類を作成する方)の現在戸籍」「請求書」「手数料(各自治体によって異なります)」です。

申請書の記載例は以下のとおりです(大阪市の場合です)。

 

借金・その他の財産の調査方法

〇債務(借金) 

最後に債務(借金等)・その他編として債務(借金)と上記以外の調査方法を解説します。
債務は全国銀行個人信用情報センター、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)等に必要書類と手数料を支払うことで債務(借金等)が判明することがあります。

 

〇その他

相続財産は多くの種類があります。最近司法書士法人やなぎ総合法務事務所では暗号資産(ビットコイン等)の調査も可です。また、暗号資産だけでなく保険やゴルフ会員権などの調査もさせていただいておりますが、共通している書類は亡くなった方の死亡の記載のある戸籍と相続人の現在戸籍です。なお、調査の際に使用した書類は下記のとおりです。参考にしていただければ幸いです。

 

司法書士法人やなぎ総合法務事務所は書類で調査していますが、保険会社などに直接問い合わせをすることも有効な手段の一つです。

 

4 まとめ

以上が相続手続きで最初にすべきことについてのお話でした。ここまでのお話をまとめたものが以下の表です。

 

①死亡届・埋火葬許可証申請相続手続きの初めに死亡届を提出する必要がある

・死亡届が届出されると埋火葬許可証が発行される

・届出人・届出期日・届出場所には決まりがある

・死亡届は必ずA3サイズ

・届出義務者は➀同居の親族➁同居の親族以外の同居者③家主、地主、家屋管理人または土地管理人の順序で届け出をしなければならない

届出人が死亡の事実を知った日から事実を知った日を含め7日以内に届け出る

・「亡くなった方の本籍地」「死亡地」「届出人の所在地」に届け出る

②戸籍の取得・死亡の記載が反映された後、亡くなった方の戸籍の収集を始める

必要な戸籍は個々の事案によって異なる

・亡くなった方の最後の住所と登記簿上の住所が一致させる必要がある

戸籍の取得方法は、本籍地のある市区町村役場に申請

・亡くなった方の本籍地が分からない場合は、最初に住民票を取得し本籍地を辿る

・住民票の取得は本籍地の表示をしてもらうよう申請

・住民票や戸籍の取得は郵送請求も可能。その場合、返信用封筒と手数料分の定額小為替を同封

③財産調査自宅から通帳が見つかった場合、まずは金融機関のHPを確認又は電話

・金融機関へ死亡報告・予約

・金融機関へは必要書類を提出し、手数料を払うことで亡くなった方の口座の残高証明書を発行してもらえる

・残高証明書は亡くなった方の死亡日のものを取得

・通帳を確認し、通帳に配当金等の記載がある場合は亡くなった方が株式を持っていた可能性がある

・証券保管振替機構に必要書類を提出し、調査をおこなってもらう

・権利証や固定資産税納税通知書を探し、所有する不動産を特定する

・法務局で登記簿謄本を取得

・名寄帳を取得

司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、大阪(阿倍野区・阿倍野、天王寺)、東京(渋谷区・恵比寿、広尾)事務所にて「無料相談・出張相談」も受け付けております。どんな些細なご相談も親身になり耳を傾け、どのようなご依頼でもお客様のご希望、目的に近づけるよう励みます。お気軽にご相談、お問い合わせください。

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著者情報

代表 柳本 良太

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    <資格>

  • 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
  • 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
  • 2009年 司法書士試験合格
  • 2010年 行政書士試験合格
司法書士法人やなぎ総合法務事務所運営の相続・家族信託相談所