戸籍法が改正され令和6年3月1日から施行されました。本ブログでは戸籍法がどのように改正されるかを簡単に説明していきます。戸籍法が改正されることによりどのように便利になるか気になる方等は本ブログを見て参考にしていただけると幸いです。

目次

戸籍の取得方法の改正について

戸籍法の改正により戸籍の取得が便利になりました。どのように便利になるかについて以下で説明していきます。

今までの戸籍の取得

今までは戸籍を取得する場合には本籍のある市区町村の役所に直接出向いて取得するまたは郵送で請求する必要がありました。例えば、本籍地が大阪市にある場合は大阪市の役所へ直接出向いて請求書などの必要書類を提出し手数料を支払うまたは大阪市の役所へ郵送で請求書などの必要書類等を提出する必要がありました。

 

なお、郵送で申請する場合は手数料を定額小為替で提出する必要がありました。定額小為替は郵便局で購入することができますが、発行手数料が1枚につき200円発生します。つまり、1通450円の戸籍謄本を郵送で取得する場合450円の定額小為替を購入する必要があるので手数料が650円必要となります。他にも郵送の場合は申請書を送付する封筒代・切手代及び返信用の封筒代・切手代が必要です。

 

今までは遠方の戸籍を取得する場合は郵送で請求するしか方法がなく、郵送で申請することで定額小為替の費用など役所に直接出向くより費用が発生していました。本ブログを読んでいただいている方の中には「数百円ぐらいは仕方ない」と思われる方もおられるかと思います。しかし、相続手続きなど多くの戸籍を取得する場合、数百円ではなく数千円、場合によっては一万円以上の出費になるということも少なくありません。

今後の戸籍の取得

戸籍法の改正により本籍のある市区町村の役所に直接出向いて取得するまたは郵送で請求をしなくても、最寄りの市区町村の窓口でも取得が可能になりました。また戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1か所の市区町村の窓口でまとめて請求することが可能になりました。しかし、コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍や一部事項証明書、個人事項証明書は請求できないので注意が必要です。そのため、例えば相続手続きに必要な戸籍のうち、被相続人の出生から死亡までの戸籍については、最終のもの以外はコンピュータ化されていないものがほとんどになるため、その部分については、従来のとおり、本籍地のある市役所等に請求をしなければならないことになります。

 

上記の制度(広域交付制度)を利用する場合以下の方が請求することが可能です。

   ・本人

          ・配偶者

          ・父母、祖父母など(直系尊属)

          ・子、孫など(直系卑属)

 広域交付制度は市区町村の戸籍担当窓口に上記の方が直接出向いて請求する必要があります。つまり郵送や代理人による請求はできないため注意が必要です。また、戸籍担当窓口に上記の方が直接出向いて請求する場合顔写真付きの身分証明書の提示が必要です。具体的には運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等があげられます。

 

 

婚姻届の提出の法改正について

 戸籍法の改正により婚姻届の提出が便利になりました。どのように便利になるかについて以下で説明していきます。

今までの婚姻届の提出

今までは夫となる方、または妻となる方の本籍地、または所在地の市区町村役所に婚姻届を提出する必要がありました。また、本籍地でない市区町村役所に婚姻届を提出する場合は、戸籍謄本または戸籍抄本が必要でした。

今後の婚姻届の提出

戸籍法の改正により戸籍謄本または戸籍抄本の提出が原則不要になります。例えば、新婚旅行先の市区町村の窓口に婚姻届を提出する場合など、本籍地ではない市区町村の窓口に戸籍の届出を行う場合でも、戸籍謄本または戸籍抄本等の提出が原則不要となります。

 

 

その他の法改正について

その他戸籍法の改正により便利になることを以下で説明していきます。

マイナンバー制度の活用による戸籍謄本などの省略

行政手続を行う場合に、マイナンバーを提供することで戸籍謄本または戸籍抄本等の提出が不要となります。例えば、児童扶養手当認定手続において、申請書と併せて申請人等のマイナンバーを申請先の行政機関に提示することにより、申請先の行政機関が戸籍の情報を確認するため、戸籍謄本または戸籍抄本等の添付が不要となります。なお、上記制度を利用できる時期等については、手続により異なるため注意が必要です。

戸籍電子証明書の活用による戸籍謄本などの省略

行政手続を行う場合に、戸籍電子証明書提供用識別符号を提供することで戸籍謄本または戸籍抄本等の提出が不要となります。例えば、パスポートの発給申請において、申請書と併せて戸籍電子証明書提供用識別符号(有効期限3か月のパスワード)を申請先の行政機関に提示することにより、申請先の行政機関が戸籍電子証明書を確認するため、戸籍謄本または戸籍抄本等の添付が不要となり、オンラインで手続が完結することが可能になります。なお、上記制度を利用できる時期等については、手続により異なるため注意が必要です。

 

 

まとめ

以上が戸籍法の改正についてのお話でした。ここまでのお話をまとめたものは以下のとおりです。

 

戸籍の取得が便利になります!

 今までは?

  ・本籍のある市区町村の役所に直接出向いて取得するまたは郵送で請求する必要

 

これからは?

 ・最寄りの市区町村の窓口でも取得が可能

 ・戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1か所の市区町村の窓口でまとめて請求することが可能。ただし、相続に必要な戸籍についてはコンピュータ化されていないものが多いため、これですべて集められるわけではない

 ・広域交付制度は本人、配偶者、父母、祖父母など(直系尊属)、子、孫など(直系卑属)が請求者

 

婚姻届の提出が便利になります!

 今までは?

   ・夫となる方、または妻となる方の本籍地、または所在地の市区町村役所に婚姻届を提出する必要

   ・本籍地でない市区町村役所に婚姻届を提出する場合は、戸籍謄本または戸籍抄本が必要

これからは?

   ・戸籍謄本または戸籍抄本の提出が原則不要

   ・本籍地ではない市区町村の窓口に戸籍の届出を行うことも可能

 

その他戸籍法の改正により便利になること

  ・行政手続を行う場合に、マイナンバーを提供することで戸籍謄本または戸籍抄本等の提出が不要

  ・行政手続を行う場合に、戸籍電子証明書提供用識別符号を提供することで戸籍謄本または戸籍抄本等の提出が不要→オンラインで手続が完結することが可能

 

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著者情報

代表 柳本 良太

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    <資格>

  • 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
  • 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
  • 2009年 司法書士試験合格
  • 2010年 行政書士試験合格
司法書士法人やなぎ総合法務事務所運営の相続・家族信託相談所