今回は相続財産の調査方法について解説させていただきたいと思います。
亡くなった方の相続財産がわからなければ、相続財産をどのようにわけるかという話し合いをすることもできません。しかし、相続財産の全容を把握している方は少ないと思われます。
そこで今回のブログでは財産の種類別に相続財産の調査方法を解説していきますので、「相続財産調査ってどうやるの!?」等の疑問を持った方は本ブログを見て頂ければ幸いです。

 

目次

1 [調査方法その①]ご自宅から相続財産の全体像を調査

当たり前ですがとても重要なのは亡くなった方の自宅です。亡くなった方の自宅は財産調査をするために重要な手がかりとなる資料が多くあると思われます。例えば権利証や通帳が見つかれば亡くなった方が不動産や預貯金があるとわかります。仮に権利証や通帳が見つからない場合でもハガキ等の郵便物が重要な手がかりとなることもあります。例えば銀行などの金融機関からハガキ等の郵便物が送られてきている場合、郵便物の差出人である金融機関に預貯金の口座がある可能性があります。このように亡くなった方の自宅は財産調査をするために重要な手がかりとなる資料が多くあるため相続財産調査はまず亡くなった方の自宅を整理することから始めてみてはいかがでしょうか?

 

2 [調査方法その②]預貯金の調査

(1)金融機関のHP等を要確認!!

亡くなった方の自宅から通帳が見つかったとしましょう。通帳が見つかったらまずは金融機関のHPを確認又は電話しましょう。なぜ確認・電話をする必要があるかというと、店頭で相続関連の手続をしていない金融機関が存在するからです。確認を怠ると、店頭に行き待たされた上に手続きはできませんと言われ、何もできずに帰るといった事態になりかねません。

(2)金融機関へ死亡報告・予約をすること!!

金融機関のHPを見てみると亡くなった方の情報などを入力する又は電話で報告してくださいと書かれています。多くの金融機関では亡くなった方の氏名・生年月日・死亡日・住所・口座番号や相続人の人数・亡くなった方との続柄等の情報を求めてきます。この報告は店頭でもできますが、店頭ですると時間がかかるので事前に済ませておくことがおすすめです。また金融機関へ来店する際は必ず予約しましょう。予約をしない場合は長時間待たなければならない場合があります。

(3)証明書に必要な書類・費用

金融機関は必要書類を提出し、手数料を払うことで亡くなった方の口座の残高を証明する残高証明書を発行してくれます。必要書類とは亡くなった方の死亡の記載のある戸籍と相続人(金融機関に行く方)の現在戸籍です。手数料は金融機関により異なります。金融機関の担当者には亡くなった方の口座すべてが記載されている残高証明書が必要なことを伝えましょう。また残高証明書は亡くなった方の死亡日のものを取得しましょう。なお、残高証明書は発行まで時間がかかります。

 

3 [調査方法その③]株式の調査

(1)亡くなった方の自宅と通帳を調査

亡くなった方の通帳を見てみましょう。通帳に配当金等の記載がある場合は亡くなった方が株式を持っていた可能性があります。他にも亡くなった方の自宅に証券会社・信託銀行等の金融機関の取引明細書や年間取引報告書・株主総会に関する連絡などの郵便物がある場合も亡くなった方が株式を持っていた可能性があります。

2)証券保管振替機構に調査

証券保管振替機構に必要書類を郵送することで下記の図のような書類が郵送されてきます。

上記のマーカーを引いている箇所を見てください。このマーカーを引いている箇所に記載されている証券会社等に問い合わせください。その後の手続きは上述した[調査方法その②]預貯金の調査と同じです。

(3)必要書類

証券保管振替機構の必要書類は①身分証明書(運転免許証等)②亡くなった方の死亡の記載のある戸籍と相続人(書類を作成する方)の現在戸籍③亡くなった方の住所の確認書類④請求書です。費用は開示結果によります。支払方法は代引きです。なお、戸籍ではなく法定相続情報を使用すると1100円の割引を受けれます。請求書の記載例は下記のとおりです。

 

4 [調査方法その④]不動産の調査

(1)納税通知書をさがそう

亡くなった方の自宅で権利証があれば一番の手がかりですが固定資産税納税通知書も重要な手がかりです。固定資産税納税通知書は土地や建物にかかる税金である固定資産税の明細です。固定資産税納税通知書には課税されている不動産の所在について記載があります。不動産の所在が判明すると法務局で登記簿謄本を取得できるため固定資産税納税通知書は重要な資料となります。しかし固定資産税納税通知書は課税されていない土地や建物は記載されないため注意が必要です。

 

(2)名寄帳とは

名寄帳とは、市区町村が作成している固定資産税課税台帳を所有者ごとにまとめたものです。例えば、Aさんの名寄帳をX市に請求した場合AさんがX市に持っている不動産がすべて記載されます。見本は以下の通りです(大阪市の場合)。

(3)名寄帳取得に必要な書類

名寄帳取得に必要な書類は①身分証明書(運転免許証等)②亡くなった方の死亡の記載のある戸籍と相続人(書類を作成する方)の現在戸籍③請求書④手数料(各自治体によって異なります)です。申請書の記載例は以下のとおりです(大阪市の場合です)。

 

5 [調査方法その⑤]債務(借金など)・その他の調査

(1)債務(借金) 編

最後に債務(借金等)・その他編として債務(借金)と上記以外の調査方法を解説します。債務は全国銀行個人信用情報センター、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)等に必要書類と手数料を支払うことで債務(借金等)が判明することがあります。

(2)その他編

相続財産は多くの種類があります。最近司法書士法人やなぎ総合法務事務所では暗号資産(ビットコイン等)の調査をしました。また、暗号資産だけでなく保険やゴルフ会員権などの調査もさせていただいておりますが、共通している書類は亡くなった方の死亡の記載のある戸籍と相続人の現在戸籍です。なお、調査の際に使用した書類は下記のとおりです。参考にしていただければ幸いです。

司法書士法人やなぎ総合法務事務所は書類で調査していますが、保険会社などに直接問い合わせをすることも有効な手段の一つです。

 

 

6 まとめ

今回は、相続財産の調査方法についてみてきました。相続に関する手続きは専門性が高く複雑であるため、調査漏れという事態を防ぐためにも、各種専門家にお願いすることが安全であると思われます。

 

司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、相続に関するご相談や、ご依頼を数多く扱っており、実務においても手続きに経験豊富な司法書士、弁護士、行政書士、税理士、土地家屋調査士、相続診断士、CFP 等の専門家がご依頼の内容に全力で取り組みます。

また、弊所では大阪(阿倍野区・阿倍野、天王寺)、東京(渋谷区・恵比寿、広尾)事務所にて「無料相談・出張相談」も受け付けております。どんな些細なご相談も親身になり耳を傾け、どのようなご依頼でもお客様のご希望、目的に近づけるよう励みます。お気軽にご相談、お問い合わせください。

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著者情報

代表 柳本 良太

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    <資格>

  • 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
  • 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
  • 2009年 司法書士試験合格
  • 2010年 行政書士試験合格
司法書士法人やなぎ総合法務事務所運営の相続・家族信託相談所