相続財産調査を司法書士に依頼するメリット・費用・手順を徹底解説
相続財産調査は、司法書士に依頼すれば手間なく正確に進められます。亡くなった方の財産をすべて把握することは相続手続きの第一歩ですが、種類が多く、独力では見落としが生じることも少なくありません。
本記事では、相続財産調査の基本から、司法書士に依頼するメリット・費用相場・注意点まで、相続に関する専門知識のない方でも理解できるように解説します。

◆ この記事でわかること

  1. 相続財産調査とはどういうものか、調査対象となる財産の種類
  2. 司法書士に依頼する具体的なメリットと費用の目安
  3. 自分で調査できるケースと専門家に任せるべきケースの見極め方

目次

相続財産調査とは?なぜ必要なのか?

相続財産調査とは、亡くなった方(被相続人)が持っていたすべての財産と負債を洗い出す作業です。これを怠ると、後になって「実は借金があった」「知らない不動産があった」というトラブルが発生します。
相続財産調査が必要になる主な理由は3つあります。

  • 遺産分割協議:相続人全員で公平に分けるために、まず財産全体を把握する必要があります
  • 相続税申告:亡くなってから10か月以内に申告が必要で、財産が把握できていないと正確な計算ができません
  • 相続放棄の判断:プラスの財産よりも負債が多い場合は「相続放棄」という選択肢があり、3か月以内に判断しなければなりません

「財産などないはず」と思っていても、故人が名義を変えていなかった不動産や、把握していなかった口座が見つかるケースは珍しくありません。
早めに調査を始めることが大切です。

調査対象となる相続財産の種類は?プラス財産と負債の両方を確認

調査対象となる相続財産の種類は?プラス財産と負債の両方を確認
相続財産は「プラスの財産」と「マイナスの財産(負債)」の両方が対象です。

財産の種類具体例調査先・確認方法
不動産土地・建物・マンション等法務局(登記事項証明書)
預貯金銀行・信用金庫・ゆうちょ銀行等の口座各金融機関への問い合わせ
有価証券株式・投資信託・国債等証券会社・信託銀行
生命保険死亡保険金(みなし相続財産)保険会社・証券確認
動産車・貴金属・美術品等実地確認・専門家鑑定
その他会員権・貸付金・著作権等契約書・通帳の調査

マイナスの財産の主な種類

  • 銀行ローン・住宅ローン
  • クレジットカードの残高・分割払い残債
  • 個人間の借金(借用書があるもの)
  • 未払いの税金・公共料金
  • 連帯保証債務

【注意】

負債の調査は特に注意が必要です。信用情報機関(CIC・JICC・全銀協)に照会すれば消費者ローンなどの借入状況を確認できますが、すべての負債を完全に把握することは自力では難しい場合があります。司法書士や弁護士への相談が安心です。

相続財産調査の具体的な手順【財産別に解説】

財産の種類ごとに、調査先と手続きが異なります。以下でSTEPごとに解説します。

STEP 1不動産の調査

法務局で「固定資産評価証明書」や「登記事項証明書(謄本)」を取得します。
固定資産税の納税通知書も手がかりになります。
市区町村の課税課に「名寄帳(なよせちょう)」を申請すると、故人が所有する土地・建物の一覧を取得できます。

STEP 2預貯金の調査

通帳・キャッシュカード・郵便物などから金融機関を特定します。
各金融機関に「残高証明書」の発行を請求します(戸籍謄本や自分が相続人であることの証明が必要)。
ゆうちょ銀行も忘れずに確認しましょう。

STEP 3有価証券・投資信託の調査

証券会社から届いた郵便物や「特定口座年間取引報告書」などをもとに口座を特定します。
ほふり(証券保管振替機構)に「登録済加入者情報の開示請求」を行うことで、全証券会社の口座情報をまとめて照会できます。

STEP 4負債・保証債務の調査

信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)に開示請求します。
ローン会社や消費者金融からの郵便物も重要な手がかりです。
連帯保証人になっているケースは書類だけでは把握が難しいため、専門家に相談することをお勧めします。

司法書士に相続財産調査を依頼するとどんなメリットがある?

相続財産調査は自分でもできますが、司法書士に依頼することで次のようなメリットがあります。

  • 漏れなく調査できる:法務局・金融機関・信用情報機関などへの手続きを代行してもらえるため、財産の見落としリスクが減ります
  • 書類収集の手間が省ける:戸籍謄本・登記事項証明書などの取得を一括して依頼でき、窓口に何度も足を運ぶ必要がなくなります
  • その後の手続きをまとめて依頼できる:財産調査だけでなく、遺産分割協議書の作成や不動産の名義変更(相続登記)まで一気通貫で対応してもらえます
  • 法的な判断もできる:連帯保証債務の扱いや相続放棄の検討など、専門的な判断が必要な場面でもアドバイスを受けられます

実際の相談事例(匿名)

【ご相談内容】

40代男性のお客様から「父が急逝し、財産は自宅と少しの預金くらいだと思う」とのご相談をいただきました。本格的な調査が必要かどうかも判断できず、まず何から始めればよいかわからない状態でした。

【対応結果】

当事務所で財産調査を行ったところ、祖父から引き継いでいた山林(未登記)が2筆、旧住所地の信用金庫口座(残高約80万円)、さらに消費者金融への負債約120万円が判明しました。相続放棄の3か月以内の期限に余裕を持って対処でき、相続人全員の同意のもとスムーズに手続きが完了しました。「調査を依頼して本当によかった」とお声をいただいています。

司法書士に相続財産調査を依頼するときの費用相場は?

司法書士への依頼費用は、財産の内容や複雑さによって異なります。以下は一般的な目安です。

依頼内容費用目安
財産調査のみ(書類収集・一覧表作成)3万〜10万円程度
財産調査+遺産分割協議書の作成10万〜20万円程度
財産調査+不動産の名義変更(相続登記)まで15万〜30万円程度
相続放棄の申立支援3万〜5万円程度

なお、弁護士への依頼は20万〜60万円程度が相場とされており、司法書士は不動産が絡む相続手続きをリーズナブルに依頼できる専門家です。
税理士は相続税申告に特化しているため、申告が必要な場合は別途税理士との連携が必要になります。

自分で財産調査するケースと司法書士に依頼すべきケースの見極め方

すべてのケースで専門家に頼む必要はありません。次の基準を参考にして判断してください。

自分で調査できるケース

  • 財産が「預金1口座+自宅のみ」など内容がシンプル
  • 相続人が配偶者と子のみで、争いがない
  • 相続税の申告が不要(遺産総額が基礎控除内)

司法書士への依頼を検討すべきケース

  • 財産の種類が多い(不動産複数・有価証券・海外資産など)
  • 故人の住所が複数回変わっており、口座・不動産の把握が難しい
  • 負債の有無が不明で、相続放棄を検討している
  • 相続人の中に行方不明者・未成年者・認知症の方がいる
  • 不動産の名義変更(2024年4月から法律上の義務)が必要

【注意】

2024年4月1日より、相続登記(不動産の名義変更)が法律上の義務となりました。
相続を知った日から3年以内に登記申請をしなければ、過料の対象になる可能性があります。
相続登記と財産調査をまとめて司法書士に依頼するのが効率的です。

相続財産調査でありがちな失敗と注意点

相続財産調査を自力で行う際には、次のような失敗が起こりやすいので注意が必要です。

① 口座の見落とし

故人が使っていなかった口座や古い通帳が実家の奥から出てくることがあります。
通帳だけでなく、郵便物・確定申告書の記録も確認しましょう

② 生命保険の失念

「みなし相続財産」として相続税の対象になる保険金を計上し忘れるケースがあります。
保険会社からの郵便物を全て確認してください

③ 未登記の不動産を見落とす

農地・山林・旧家の建物などは登記されていないことがあります。
市区町村の名寄帳と現地確認の両方が必要です

④ 相続放棄の期限を過ぎる

3か月の熟慮期間は、財産調査と並行して進めることが重要です。
負債の可能性があれば早めに弁護士か司法書士に相談してください

専門家としての見解・アドバイス

当事務所で特に多い見落としのご相談は、「通帳のない休眠口座」と「古い農地・山林の未登記不動産」です。故人の郵便物や確定申告書を必ず確認すること、市区町村役場で名寄帳を取得することをお勧めしています。
また、連帯保証人になっているケースは書類上では判明しにくく、相続後に突然請求が来て驚かれる方も少なくありません。財産調査は相続開始後1か月以内に着手されることを強くお勧めしております。

よくある質問

Q1. 相続財産調査はいつから始めればよいですか?

相続が発生(被相続人が亡くなった)したらすぐに始めることをお勧めします。
相続放棄の判断は3か月以内、相続税申告は10か月以内という期限があるため、できるだけ早めに動くことが大切です。

Q2. 司法書士への依頼は、財産調査だけでも可能ですか?

はい、可能です。
財産調査だけを単独で依頼することもできます。
ただし、調査後に遺産分割協議書の作成や相続登記まで続けて依頼すると費用を抑えられる場合が多いため、事前に事務所に相談することをお勧めします。

Q3. 海外の財産がある場合はどうすればよいですか?

海外の銀行口座・不動産・株式などは、国内の司法書士だけでは対応が難しいケースもあります。
国際相続に対応している弁護士や税理士との連携が必要になることがあります。

Q4. 財産調査の費用は誰が払うのですか?

相続財産から支出することが一般的です。
相続人全員で費用を折半するケースもあります。
依頼前に支払い方法について各相続人間で話し合っておくとスムーズです。

Q5. 財産がほとんどない場合でも調査は必要ですか?

「財産がない」と思っていても、調査してみると見落としていた口座や負債が見つかることがあります。
特に「負債がないか」の確認は必須です。少ない財産であれば自分でも調査できますが、不安な場合は専門家に相談することをお勧めします。

まとめ:相続財産調査で悩んだら司法書士にご相談ください

相続財産調査は、相続手続きのすべての出発点となる重要な作業です。
プラスの財産もマイナスの財産も、漏れなく把握してこそ適切な遺産分割が可能になります。
自分で調査できるシンプルなケースもありますが、不動産や負債が絡む場合、財産の種類が多い場合、相続放棄を検討している場合などは、司法書士への早めの相談が安心です。

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