解決事例③:遺産分割

目次
父の前妻の子が見つかり、遺産分割協議をやり直したケース
ご依頼の状況

K様(52歳・男性、大阪市東住吉区在住)は、父親が亡くなってから4か月後、相続登記の手続きのため当事務所へ相談に来られました。
父は2か月前に亡くなり、母も5年前に他界。相続人は自分と弟(48歳)の2人だけだと思っていたK様。
遺産は実家の一戸建て(評価額約2,000万円)と預貯金約800万円で、兄弟で話し合い、K様が実家を相続し、弟が預貯金を相続することで合意していました。
「簡単な手続きだと思うので、登記だけお願いしたい」というご依頼でしたが、当事務所で戸籍調査を進めたところ、思わぬ事実が判明することになりました。
相談内容
戸籍調査で前妻の子の存在が判明した後、K様の不安は次の通りでした。
- 見ず知らずの異母兄弟にどう連絡を取れば良いのか
- すでに弟と分割方法を決めていたが、やり直しになるのか
- 前妻の子も同じ相続分を要求してくるのか
- 実家を売却しなければならなくなるのか
- 相続税の申告期限(残り6か月)に間に合うのか
- 父はなぜこのことを黙っていたのか、複雑な気持ち
「まさか父に前妻がいて、子供までいたなんて。母も知らなかったはず。
これからどうすれば良いのか、頭が真っ白です」と困惑されていました。
当事務所のサポート内容

①戸籍の詳細調査と相続人の確定
父の出生から死亡までの戸籍をすべて取得したところ、若い頃に離婚歴があり、前妻との間に息子(S様・55歳)がいることが判明。
S様も法定相続人であり、相続分は3分の1でした。
現住所を調査し、東京都内に在住していることを確認しました。
②異母兄弟への連絡と説明
当事務所が間に入り、S様へ手紙で連絡。
父が亡くなったこと、相続人であること、遺産分割協議が必要なことを丁寧に説明しました。
S様も父の死を知らなかったため、大変驚かれていました。
③相続人全員での話し合いの調整
K様、弟、S様の3人での話し合いを当事務所で実施。
司法書士が中立的立場で同席し、法定相続分や分割方法について説明。
初対面で緊張感のある場でしたが、専門家が入ることで冷静な話し合いができました。
④柔軟な分割案の提案
S様は「父とは幼い頃に別れ、思い入れもない。
実家を売却するのは忍びない」と配慮を示してくれました。
そこで、K様が実家を取得し、預貯金800万円をS様と弟で400万円ずつ分ける案を提案。
さらにK様から100万円ずつ代償金を支払うことで合意しました。
⑤遺産分割協議書の作成と手続き
3人全員が納得する内容で遺産分割協議書を作成。
S様は東京在住のため、郵送でのやり取りで署名・押印を完了。
その後、不動産の相続登記、預貯金の解約・分配まですべて当事務所で代行しました。
結果
当初は青天の霹靂だった異母兄弟の存在でしたが、当事務所のサポートにより、円満に遺産分割を完了することができました。
S様は「父のことは恨んでいない。新しい家族が幸せならそれで良い」と寛大な姿勢を示され、K様も「S様の配慮に感謝している。
機会があれば父の墓参りに来てほしい」と伝えました。
その後、S様が大阪を訪れた際、3人で食事をする機会もあり、「血のつながった兄弟として、これからも連絡を取り合いたい」という関係に発展。
K様は「最初はどうなることかと思ったが、新しい家族が増えたようで嬉しい」と話されています。
本事例のポイント
- 戸籍調査で予想外の相続人が判明することは珍しくない
- 専門家による丁寧な連絡と説明で、初対面の相続人とも円満に協議できる
- 第三者である司法書士が間に入ることで、デリケートな問題もスムーズに解決
- 法定相続分にこだわらず、各相続人の事情に配慮した分割案が重要
- 相続をきっかけに、新たな家族関係が生まれることもある
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著者情報
代表 柳本 良太

- <所属>
- 司法書士法人 やなぎ総合法務事務所 代表社員
- 行政書士法人 やなぎKAJIグループ 代表社員
- やなぎコンサルティングオフィス株式会社 代表取締役
- 桜ことのは日本語学院 代表理事
- LEC東京リーガルマインド資格学校 元専任講師
- <資格>
- 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
- 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
- 2009年 司法書士試験合格
- 2010年 行政書士試験合格
















