「相続手続きに戸籍がいると聞いたが必要な戸籍がわからない。」、「戸籍の請求方法がわからない。」等、お悩みを持たれる方は多いと思います。戸籍の請求方法や読み方がわからない方は本ブログを見て参考にしていただけると幸いです。

 

目次

1 なぜ相続で相続人調査と戸籍は必要なのか

 1-1 知らない相続人がいる可能性

 1-2 遺産分割協議をする人とは?

1-3 相続手続で必要となる

2 相続の手続きに必要な戸籍とは

 2-1 亡くなった方の子が相続人の場合

 2-2 亡くなった方の親が相続人の場合

 2-3 亡くなった方の兄弟姉妹が相続人の場合

3 戸籍の請求方法と読み方

 3-1 戸籍等の取得方法

  3-1-1 住民票の請求

  3-1-2 戸籍の請求

 3-2 戸籍等の読み方

4 【法定相続情報一覧図】法定相続情報の申請の仕方

 4-1 法定相続情報一覧図とは?

 4-2 法定相続情報一覧図の申請方法

5 まとめ

 

1 なぜ相続で相続人調査と戸籍は必要なのか

 「私は亡くなった方の家族関係を完全に把握しているので相続人調査は必要ないのでは?」と思われる方も多いと思います。

以下では相続人調査が必要な理由を説明します。

 

1-1 知らない相続人がいる可能性

  例えば亡くなった方に離婚歴がある場合、前婚の子がいる可能性があります。この場合、前婚の子も相続人となります。

つまり、戸籍を取得してみて、はじめて自分に異母兄弟姉妹がいたことが判明する場合があるということです。

 

1-2 遺産分割協議をする人とは?

  亡くなった方の財産をどのように分けるか話し合ういわゆる「遺産分割協議」は相続人全員で行う必要があります。相続人全員が参加しなかった場合、遺産分割協議は無効となってしまいます。

有効な遺産分割協議を行うためには戸籍を取得し相続人を確定させる必要があります。

 

1-3 相続手続で必要となる

  不動産の名義変更・預貯金の解約等、相続手続に戸籍は必要となります。戸籍を収集することで亡くなった方が死亡していることや相続人が誰であるか等を手続の証明することができます。そのため、法務局や金融機関等は戸籍の提示・提出を求めてきます。

 

 

2 相続の手続きに必要な戸籍とは

 「金融機関に手続には戸籍が必要と言われたが必要な戸籍がわからない。」というお悩みを持たれる方は多いと思います。

以下ではケースごとに必要な戸籍について説明します。

 

2-1 亡くなった方の配偶者・子が相続人の場合

  亡くなった方の配偶者・子が相続人となる場合に必要な戸籍は以下の表のとおりです。

 

・亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・相続人の戸籍謄本

・亡くなった方の住民票除票又は戸籍附票

・相続人の住民票又は戸籍附票

 

 

2-2 亡くなった方の配偶者・親が相続人の場合

  亡くなった方の配偶者・親が相続人となる場合に必要な戸籍は以下の表のとおりです。

 

・亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・相続人の戸籍謄本

・亡くなった方の住民票除票又は戸籍附票

・相続人の住民票又は戸籍附票

 

2-3 亡くなった方の配偶者・兄弟姉妹が相続人の場合

亡くなった方の配偶者・兄弟姉妹が相続人となる場合に必要な戸籍は以下の表のとおりです。

 

・亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・亡くなった方の直系尊属の出生から死亡までの記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍と重複するものは不要)

・相続人の戸籍謄本

・亡くなった方の住民票除票又は戸籍附票

・相続人の住民票又は戸籍附票

 

 

3 戸籍の請求方法と読み方

 「戸籍の取得方法・読み方がわからない」、「忙しいので役所へ行く時間がない」というお悩みを持たれる方は多いと思います。

以下では戸籍等の取得方法・読み方について説明します。

 

 3-1 戸籍等の取得方法

 3-1-1 住民票の請求

戸籍を請求するには本籍地を把握している必要があります。

しかし亡くなった方の本籍地を正確に把握している方は多くはないと思われます。

亡くなった方の本籍地がわからない場合、亡くなった方の本籍地の記載のある住民票の除票を取得することで亡くなった方の本籍地がわかります。

 

亡くなった方の住民票の除票は亡くなった方の住所地にある地方自治体で取得することができます。

しかし、亡くなった方の最後の住所が遠方の場合等、現地の地方自治体で取得することが難しい場合があります。このような場合は郵送で請求することができます。

郵送で請求する場合は手数料を定額小為替で支払います。定額小為替は郵便局で購入します。なお、住民票の手数料は各地方自治体によって異なるため各地方自治体のホームページをご覧ください。

 

住民票の請求用紙は各地方自治体により異なる場合があります。請求用紙の記載例は各地方自治体のホームページで公開されていることがあるため各地方自治体のホームページをご覧ください。住民票を請求する場合、本籍地が記載されたものが必要となるため住民票に本籍地を記載するように請求しなければなりません。また、住民票の発行については同一世帯に属するなど地方自治体で亡くなった方と請求者との関係がわからない場合、亡くなった方の相続人であることを証明するための書類を提示する必要があるため、ご自身の戸籍謄本等を添付する必要があることにご注意下さい。

 

3-1-2 戸籍の請求

戸籍謄本は、本籍地を管轄する市区町村役場に本籍地と戸籍の筆頭者(戸主)を特定して請求します。住民票の場合と同様に市区町村役場で申請または郵送で申請します。

請求用紙については記載例が各地方自治体のホームページで公開されていることがあるため各地方自治体のホームページをご覧ください。

郵送で請求する場合は手数料を定額小為替で支払います。

戸籍の請求についても、その自治体にて亡くなった方と請求者との関係がわからない場合、亡くなった方の相続人であることを証明するための書類を提示する必要があるため、ご自身の戸籍謄本等を添付する必要があることにご注意下さい。

 

戸籍の発行手数料は、現在戸籍謄本が1通につき450円、除籍・改製原戸籍謄本が1通につき750円となります。

しかし、「出生から死亡までさかのぼった戸籍で取得できるものをすべてお願いします」と申請書に記載した場合、その役場でさかのぼれるだけさかのぼった戸籍等を出してくれるケースがあります。そのため、郵送請求の場合は、定額小為替証書を多めに入れておくといいと思われます。

 

なお、市役所等に死亡届を提出してから、戸籍に死亡の旨が反映されるまで1~2週間ほどかかるため、すぐに戸籍の収集ができないので注意が必要です。

 

3-2 戸籍等の読み方

 以下は見附市役所のホームページ(https://www.city.mitsuke.niigata.jp/17607.htm)で公開されている亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本の取得方法です。

 

 

 

図1の戸籍の③によると平成16年5月29日により改正されたと記載されているため改正原戸籍が存在するとわかります。図2の⑤によるとこの改製原戸籍は昭和45年5月5日に編成されたことがわかります。見附太郎は戸籍の記載から昭和20年生まれであることがわかるため出生までの戸籍が足りないことがわかります。また、⑥の記載から見附太郎は長岡市本町五丁目123番地の筆頭者見附一郎の戸籍からきたことがわかります。したがって長岡市に長岡市本町五丁目123番地の筆頭者見附一郎の戸籍を請求します。このような流れを見附太郎の出生時の戸籍を取得できるまで続けます。

 

 

4 【法定相続情報一覧図】法定相続情報の申請の仕方

 「戸籍謄本の提出を様々な機関から求められているが、戸籍謄本は1通ずつしかないため困っている」というお悩みを持たれる方は多いと思います。以下ではそのような場合に便利な法定相続情報一覧図について説明していきます。

 

 4-1 法定相続情報一覧図とは?

 法定相続情報一覧図とは、亡くなった被相続人の相続関係を1通の用紙に記載したものになります。法務局で認証を受ければ公的な証明として相続手続きで使うことができます。法定相続情報一覧図は、認証を受けると5年間は写しが無料で交付され、同じ戸籍謄本等を何通も用意する必要もなく相続手続きが簡単になります。

 4-2 法定相続情報一覧図の申請方法

 必要書類は法務局(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html)が公開している以下の表のとおりです。

 

 

 

上記の書類に加え、申請書および亡くなられた方及び戸籍の記載から判明する相続人を一覧にした図を作成します。亡くなられた方及び戸籍の記載から判明する相続人を一覧にした図の記載例は法務局のホームページ(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html)に記載があります。以下の記載例は相続人が配偶者と子2人の場合です。他の記載例についてはhttps://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.htmlをご覧ください。

 

 

 

 

以下は申請書の記載例です。

 

 

上記の書類を以下の地を管轄する登記所のいずれかを選択して手続きをすることが可能です。

 (1)被相続人の本籍地(死亡時の本籍地)

 (2)被相続人の最後の住所地

 (3)申出人の住所地

 (4)被相続人名義の不動産の所在地

 

登記所の管轄についてはhttps://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.htmlをご覧ください。

 

 

5 まとめ

以上が、戸籍の取寄せ(相続人調査)方法ついてのお話でした。相続に必要な戸籍謄本の取り寄せ方法についてご理解頂けたかと思います。昔の戸籍謄本は手書きの部分もあり、相続関係が複雑になるとどの戸籍が不足しているのか判断するのにかなりの知識が必要となるため、ご自身でお集めになられるのが難しいと感じられた場合は、司法書士などのプロを頼られるのも良いかもしれません。

ここまでのお話をまとめたものが以下の表です。

 

戸籍等はどういう場面で必要?・知らない相続人がいる可能性

・遺産分割協議をする人とは?

・相続手続で必要となる

必要な戸籍等とは?亡くなった方の子が相続人の場合

・亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・相続人の戸籍謄本

・亡くなった方の住民票除票又は戸籍附票

・相続人の住民票又は戸籍附票

亡くなった方の親が相続人の場合

・亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・相続人の戸籍謄本

・亡くなった方の住民票除票又は戸籍附票

・相続人の住民票又は戸籍附票

亡くなった方の兄弟姉妹が相続人の場合

・亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・亡くなった方の直系尊属の出生から死亡までの記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍と重複するものは不要)

・相続人の戸籍謄本

・亡くなった方の住民票除票又は戸籍附票

・相続人の住民票又は戸籍附票

戸籍等の取得方法・読み方住民票の請求

・亡くなった方の本籍地がわからない場合、亡くなった方の本籍地の記載のある住民票の除票を取得

・市区町村役場で申請または郵送で申請

・郵送申請の場合、手数料は定額小為替で支払う

・手数料は各地方自治体によって異なる

・その自治体にて被相続人と相続人との関係がわからない場合、戸籍謄本等を添付する必要がある

戸籍の請求

・区町村役場で申請または郵送で申請

・郵送申請の場合、手数料は定額小為替で支払う

・発行手数料は、現在戸籍謄本が1通につき450円、除籍・改製原戸籍謄本が1通につき750円

・その自治体にて被相続人と相続人との関係がわからない場合、戸籍謄本等を添付する必要がある

法定相続情報一覧図・詳細は法務局のホームページ(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html)をご覧ください。

 

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監修者情報

代表 柳本 良太

    <保有資格>

  • 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
  • 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
  • 2009年 司法書士試験合格
  • 2010年 行政書士試験合格

 

司法書士法人やなぎ総合法務事務所運営の相続・家族信託相談所