相続の相談はどこにすればいい?目的別の窓口と選び方を解説

相続の相談先は、目的で選びます。手続き全般や不動産の名義変更なら司法書士、相続人どうしの争いなら弁護士、相続税なら税理士が基本です。まず費用をかけずに知りたいなら、市区町村や法テラスの無料相談から始める方法もあります。
◆ この記事でわかること
- 公的機関・銀行・4つの士業(弁護士・司法書士・行政書士・税理士)の違いと選び方
- 「うちの場合はどこ?」がわかる目的別の早見表とフローチャート
- 無料相談で気をつけたい落とし穴と、依頼したときの費用の目安
※本記事は司法書士法人やなぎ総合法務事務所が監修しています。最終更新日:2026年7月
目次
- 相続の相談はどこにすればいいですか?
- 無料で相談できる公的機関にはどこがありますか?
- 弁護士・司法書士・行政書士・税理士は何が違うのですか?
- 銀行の相続手続きサービスは利用したほうがいいですか?
- 結局、自分はどこに相談すればいいですか?
- ご相談事例
- 相続の相談や依頼にかかる費用はどのくらいですか?
- 相続の相談先に関するよくある質問
- まとめ|迷ったら「争い・不動産・相続税」で振り分ける
相続の相談はどこにすればいいですか?
相談先は、目的に合わせて選びます。「何を解決したいか」がはっきりすれば、迷わず窓口を絞り込めます。
相続の相談先は、大きく公的機関・銀行・士業(専門家)の3つ。まずは全体像を目的別の早見表で確認してください。
| あなたの目的・状況 | おすすめの相談先 |
|---|---|
| まず費用をかけず全体像を知りたい | 市区町村の無料相談・法テラス |
| 不動産の名義変更(相続登記)をしたい | 司法書士 |
| 預金の解約・戸籍集め・手続き全般を任せたい | 司法書士 |
| 相続人どうしで争いになっている | 弁護士 |
| 相続税の申告が必要 | 税理士 |
| 書類作成だけ頼みたい(不動産なし) | 行政書士 |
| 遺言書を作りたい・生前に対策したい | 司法書士(遺言・家族信託) |
多くの方が最初に直面するのが「相続手続き」です。不動産の名義変更、預金の解約、戸籍の収集、遺産分割協議書の作成。これらをまとめて扱えるのが司法書士のため、争いや相続税がなければ司法書士が窓口の起点になります。
遺言書がある場合・これから作りたい場合
すでに遺言書がある場合は、その内容に沿って手続きを進めます。相続開始後の遺言の検認(家庭裁判所での確認)や、遺言に基づく相続登記は司法書士に相談できます。
逆に、自分が元気なうちに相続対策をしておきたい場合は、遺言書の作成や家族信託が中心になります。これも司法書士が扱う分野です。将来のトラブルを防ぐ生前対策は、早めの相談ほど選択肢が広がります。
無料で相談できる公的機関にはどこがありますか?
市区町村の役場・税務署・法テラスの3つが代表的です。費用をかけずに一般的な情報を得たい段階に向いています。
それぞれ相談できる内容と受付時間が異なります。
| 窓口 | 相談できること | 特徴 |
|---|---|---|
| 市区町村の役場 | 相続全般の一般的な疑問 | 弁護士・司法書士による無料相談を実施する自治体もある。予約制・回数制限が多い |
| 税務署 | 相続税に関する疑問 | 平日8時30分〜17時。相続税専門。手続きの代行はしない |
| 法テラス | 法的トラブル全般の案内 | 収入・資産が一定額以下なら弁護士・司法書士の無料相談を利用できる |
法テラス(日本司法支援センター)は、国が設立した相談窓口です。電話やメールで相談内容を伝えると、適した相談機関を案内してもらえます。
【注意】
公的機関の無料相談は、受付が平日日中に限られたり、相談が年度内に1回までと回数制限があったりします。あくまで一般的なアドバイスが中心で、手続きの代行や相手との交渉まではしてもらえないのが一般的です。
弁護士・司法書士・行政書士・税理士は何が違うのですか?

対応できる業務範囲が違います。相続手続き全般と不動産登記なら司法書士、争いの解決なら弁護士、相続税なら税理士が専門です。
4つの士業でできることを比べました。
| できること | 弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 |
|---|---|---|---|---|
| 不動産の名義変更(相続登記) | ○ | ○ | × | × |
| 相続人・財産の調査、戸籍収集 | ○ | ○ | ○ | × |
| 遺産分割協議書の作成 | ○ | ○ | ○ | × |
| 相続人どうしの交渉・調停・裁判の代理 | ○ | × | × | × |
| 相続税の申告 | × | × | × | ○ |
表のとおり、業務範囲は重なる部分と、その資格にしかできない部分があります。順に見ていきましょう。
弁護士|相続人どうしが争っているとき
弁護士の強みは、代理人として相手と交渉できる点です。相続人の間で話がまとまらず、調停や裁判に発展しそうなときは弁護士が適任。裁判所での手続きの代理人になれるのは、基本的に弁護士だけです。
一方で、争いのない手続きだけを頼む場合は、費用が高くなりやすい面があります。
司法書士|手続き全般と不動産の名義変更
司法書士は、相続登記・相続人調査・遺産分割協議書の作成など、相続手続きを幅広く扱えます。専門家の中で相続登記ができるのは、弁護士と司法書士だけ。
相続財産に不動産がある方の多くにとって、司法書士が窓口の起点になります。争いがなく手続きを任せたい場合は、弁護士より費用を抑えられることが一般的です。相続税が必要なら提携税理士へ、争いになれば弁護士へと橋渡しできる立ち位置でもあります。
行政書士|書類作成だけを頼みたいとき(不動産なし)
行政書士は、相続人調査や遺産分割協議書などの書類作成、預貯金・株式・車の名義変更を扱えます。ただし不動産の名義変更(相続登記)はできません。
行政書士の業務は弁護士・司法書士の範囲に含まれます。不動産があるなら、はじめから司法書士に頼むほうが二度手間になりにくいでしょう。
税理士|相続税の申告が必要なとき
税理士は、相続税の試算や申告を専門に扱います。相続税がかかるかどうかの判断、実際の申告書の作成は税理士の担当。ただし相続税の申告が必要なのは、相続全体の約1割とされています。
自分に相続税がかかるか分からない段階なら、まず司法書士や無料相談で全体像を整理し、必要に応じて税理士につなぐ流れが無駄になりにくいといえます。
専門家としての見解・アドバイス
【ご相談内容】
これまで相続のご相談を受けてきた経験から申し上げると、「そもそも自分が何を相談すればいいのか分からない」という状態でお越しになる方がとても多いです。相続税が心配で税理士を探していたが、実際には相続税はかからず、必要なのは不動産の名義変更だけだった。逆に、手続きだけのつもりが、実は相続人の間に深い対立があり弁護士の領域だった。こうした行き違いは珍しくありません。
相続は、手続き・登記・税金・争いといった複数の要素が絡み合います。最初に相談する窓口を間違えると、あちこちに問い合わせるうちに3ヶ月・10ヶ月といった期限が近づいてしまうことも。だからこそ、まずは相続の入口となる窓口で全体像を整理し、必要な専門家へ振り分けてもらうのが遠回りにならないと考えています。
当事務所では、相続手続き・相続登記・相続放棄・遺産分割協議書の作成を司法書士が担当し、相続税は提携税理士、相続人どうしの争いは提携弁護士と連携してご案内しています。「どこに相談すればいいか分からない」という段階のご相談こそ、遠慮なくお寄せください。
銀行の相続手続きサービスは利用したほうがいいですか?
争いがなく、費用をかけてでも手間を省きたい方には選択肢になります。財産調査から遺産分割協議書の作成、各相続人への分配まで任せられるためです。
銀行(信託銀行など)の遺産整理サービスは、相続手続きをまとめて代行してくれます。ただし2点、知っておきたいことがあります。
- 手数料が高めに設定されていることが多く、最低報酬が100万円以上のケースもある
- 登記や税務など専門分野は、結局は提携する司法書士・税理士へ外注される仕組みが一般的
つまり、窓口が銀行になるだけで、実際の作業は士業が担うことも少なくありません。費用を抑えたいなら、司法書士など専門家へ直接依頼するほうが割安になる場合があります。
結局、自分はどこに相談すればいいですか?
次の順番で考えると、自分に合う窓口が絞り込めます。「争いの有無」「不動産の有無」「相続税の有無」の3つが分かれ道です。
遺産分割でもめている、連絡の取れない相続人がいる、といった対立があるなら弁護士へ。代理人として交渉・調停を任せられます。
争いがなく不動産があるなら司法書士へ。相続登記を含めて手続き全般を任せられます。相続財産に不動産があるケースは多く、司法書士が起点になりやすい理由です。
遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えそうなら、税理士による申告が必要です。判断がつかなければ、司法書士や無料相談で確認できます。
上記の判断がつかない段階なら、市区町村の無料相談や法テラスで全体像をつかむ方法もあります。ただし手続きの代行は別途、専門家への依頼が必要です。
迷ったときの目安はシンプルです。争いがあれば弁護士、相続税があれば税理士、それ以外の手続き全般は司法書士。この3点で、ほとんどのケースは振り分けられます。
ご相談事例
50代男性・「相続税の相談のつもり」が手続きの依頼だったケース
【ご相談内容】
お父様が亡くなり、相続税が心配で税理士を探していたという50代の男性。ご相談の中で財産を確認したところ、遺産は自宅(評価額約2,000万円)と預貯金約800万円で、基礎控除の範囲内。相続税はかからないことが分かりました。本当に必要だったのは、自宅の名義変更と預金の解約手続きでした。
【対応結果】
相続登記と預貯金の解約手続きをまとめてお引き受けし、必要な戸籍の収集から遺産分割協議書の作成まで対応。相続人はご相談者お一人だったため手続きはスムーズに進み、ご相談から書類一式の準備まで約2週間、名義変更の完了まで約1ヶ月半でした。税理士への依頼は不要と分かり、費用面でも安心していただけました。
相続の相談や依頼にかかる費用はどのくらいですか?
公的機関の相談は無料、士業への依頼は内容によって数万円から数十万円が目安です。何を頼むかで大きく変わります。
代表的な依頼内容ごとの費用の目安を整理しました。
| 依頼内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 相続登記(不動産の名義変更) | 6万〜15万円程度+登録免許税(不動産評価額の0.4%) |
| 相続放棄の申述書類の作成 | 3万〜7万円程度 |
| 遺産分割協議書の作成 | 3万〜10万円程度 |
| 相続手続きの丸ごと代行(戸籍・預金・登記など) | 10万〜30万円程度 |
| 相続税の申告(税理士) | 遺産総額の0.5〜1%程度が一般的 |
多くの事務所が初回相談を無料にしています。いきなり依頼を決める必要はありません。まず無料相談で「何が必要か」「費用はどれくらいか」を確認してから判断するのが安心です。
見積もりを取る際は、実費(登録免許税・戸籍取得費など)が含まれているかも確認してください。
相続の相談先に関するよくある質問
Q1. 相続の相談はどこが一番いいですか?
目的によって変わります。手続き全般や不動産の名義変更なら司法書士、相続人どうしの争いなら弁護士、相続税なら税理士です。どこに頼むか迷う段階なら、相続手続きを幅広く扱う司法書士か、無料相談から始めるのがおすすめです。
Q2. 相続の相談は無料でできますか?
できます。市区町村の役場・税務署・法テラスなどの公的機関、多くの士業事務所が無料相談を用意しています。ただし公的機関は回数や時間に制限があり、手続きの代行までは対応しないのが一般的です。
Q3. 司法書士と弁護士のどちらに相談すべきですか?
相続人どうしで争いがあるなら弁護士、争いがなく手続きを任せたいなら司法書士が向いています。争いのない手続きは、司法書士のほうが費用を抑えられることが一般的です。不動産の名義変更はどちらも対応できます。
Q4. 相続税がかかるか分からない場合はどこに相談すればいいですか?
まず司法書士や無料相談で全体像を整理するのがおすすめです。相続税がかかるのは、遺産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合です。超えそうなら税理士へ、そうでなければ手続きの専門家へと振り分けられます。
Q5. 相続の相談には期限がありますか?
手続きによって期限があります。相続放棄は3ヶ月以内、相続税の申告は10ヶ月以内、相続登記は取得を知った日から3年以内が義務です。期限のある手続きは早めの相談をおすすめします。
Q6. 何も分からない状態でも相談していいですか?
問題ありません。「何を相談すればいいか分からない」という状態でのご相談はよくあります。状況をうかがったうえで、必要な手続きや適した専門家をご案内します。まずは気軽にお問い合わせください。
Q7. 相談したら必ず依頼しないといけませんか?
その必要はありません。多くの事務所では、相談だけの利用も受け付けています。まず話を聞いて、費用や進め方を確認したうえで、依頼するかどうかを判断できます。
まとめ|迷ったら「争い・不動産・相続税」で振り分ける
この記事のポイントをまとめます。
- 相続の相談先は目的で選ぶ。手続き全般は司法書士、争いは弁護士、相続税は税理士が基本
- 費用をかけず知りたいなら、市区町村・税務署・法テラスの無料相談から始める方法もある
- 公的機関の無料相談は回数・時間に制限があり、手続きの代行まではしないのが一般的
- 銀行の遺産整理サービスは手数料が高めで、実作業は士業へ外注されることが多い
- 判断の分かれ目は「争いの有無」「不動産の有無」「相続税の有無」の3つ
相続は、最初に相談する窓口を間違えると、あちこちを回るうちに期限が迫ってしまいます。「どこに相談すればいいか分からない」なら、相続手続きを幅広く扱う窓口で全体像を整理するのが遠回りになりません。
やなぎ総合法務事務所では、相続手続き・相続登記・相続放棄・遺産分割協議書の作成を司法書士が担当し、相続税は提携税理士、相続人どうしの争いは提携弁護士と連携してご案内しています。ご相談は無料です。「まず何をすればいいのか」という段階から、お気軽にご相談ください。
![]() | ![]() |
| 相続サイト | |
| 所在地 |
|
| その他 |
|
著者情報
代表 柳本 良太

- <所属>
- 司法書士法人 やなぎ総合法務事務所 代表社員
- 行政書士法人 やなぎKAJIグループ 代表社員
- やなぎコンサルティングオフィス株式会社 代表取締役
- 桜ことのは日本語学院 代表理事
- LEC東京リーガルマインド資格学校 元専任講師
- <資格>
- 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
- 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
- 2009年 司法書士試験合格
- 2010年 行政書士試験合格














