自宅で電話をしながら驚いた表情を浮かべる女性

突然相続の連絡が来るのは、あなたが法定相続人または相続関係者に該当する可能性があるためで、放置はおすすめできません。まず差出人と相続関係を確認し、借金の有無を調べたうえで、3ヶ月以内に相続するか放棄するかを判断しましょう。

◆ この記事でわかること

  1. 見知らぬ相手から突然相続の連絡が来る理由と、手紙が本物か確かめる方法
  2. 連絡を無視した場合のリスクと、受け取ってからやるべき5つのステップ
  3. 相続放棄の期限(3ヶ月)と、遺産分割協議に参加するときの注意点

※本記事は司法書士法人やなぎ総合法務事務所が監修しています。最終更新日:2026年6月

目次

突然相続の連絡が来るのはなぜですか?

突然相続の連絡が来るのは、面識がなくても法律上、あなたが相続人にあたるためです。相続人は民法で機械的に決まるため、「会ったこともない伯父」「疎遠になった親」の相続人に、ある日突然なることがあります。

連絡が来る典型的なケースは次のとおりです。

  • 子のいない伯父・伯母が亡くなり、甥・姪であるあなたが相続人になった(代襲相続)
  • 独身の兄弟姉妹が亡くなり、兄弟姉妹として相続人になった
  • 幼少期に離婚で別れた父・母が亡くなり、子として相続人になった
  • 前婚の子や認知された子がいることが戸籍で判明し、協議への参加を求められた

差出人は、他の相続人本人のこともあれば、手続きを依頼された司法書士・弁護士のこともあります。専門家からの連絡は、戸籍をたどってあなたの住所を調べたうえで送られており、それ自体は通常の手続きの一部です。なお、不動産を相続したまま放置している場合などは、市区町村から固定資産税の納税通知が届いて初めて相続を知る例もあります。

そもそも誰が法定相続人になるのか

法定相続人(法律で相続する権利を持つ人)には順位があります。配偶者は常に相続人となり、第1順位が子(亡くなっていれば孫)、第2順位が親などの直系尊属、第3順位が兄弟姉妹(亡くなっていれば甥・姪)です。先順位の人が誰もいない、または全員が相続放棄をした場合に、次の順位へ権利が移ります。だからこそ「故人に子がいないため、甥・姪のあなたに連絡が来る」「先順位者が全員放棄したため、思いもよらない人が相続人になる」という事態が起こるのです。

届いた相続の連絡にはどんな内容が書かれていますか?

手紙の内容は大きく分けて、相続が発生したお知らせと、遺産分割協議(相続人全員で財産の分け方を決める話し合い)への協力依頼の2つです。具体的には、亡くなった方の氏名と死亡日、あなたが相続人にあたる理由、財産の概要、そして「協議書に署名・実印の押印と印鑑証明書の提出をお願いしたい」といった依頼が書かれているのが一般的です。

本物かどうかを確かめる方法

相続をかたる詐欺も存在するため、いきなり返事をする前に差出人を確認しましょう。次の方法が有効です。

  • 司法書士・弁護士名義の手紙なら、日本司法書士会連合会・日本弁護士連合会の検索ページで氏名・登録番号を確認する
  • 事務所の電話番号を自分で調べ直してから連絡する(手紙記載の番号を鵜呑みにしない)
  • 亡くなった方との関係を戸籍で確認する(自分で戸籍をたどれば相続関係は裏付けできます)
  • 「手数料を振り込めば遺産を渡す」など、先にお金を要求する内容は詐欺を疑う

【注意】

内容を十分に確認しないまま、実印の押印や印鑑証明書の送付には応じないでください。遺産分割協議書への押印は「その分け方に合意した」ことを意味し、後から覆すのは困難です。

突然の相続連絡を無視するとどうなりますか?

知らない番号からの着信を手のひらで拒否するしぐさをする女性

無視を続けても相続人の立場はなくならず、不利益だけが積み上がっていきます。「関わりたくないから」と放置するのが、実は一番危険な選択です。

  • 借金があった場合、相続放棄の期限(3ヶ月)を逃し、知らない親戚の借金を背負う恐れがある
  • 他の相続人が家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、裁判所から呼び出しを受けることがある
  • 協議に参加しないまま手続きが進められず、関係者全員が不動産の売却や預金の解約をできない状態が続く
  • 遺産を受け取れるはずのケースでも、その権利を活かせないまま時間だけが過ぎる

実際、家庭裁判所での相続放棄の受理件数は年間28万件を超え、過去最多の水準が続いています(司法統計)。疎遠な親族の相続を「正式に断る」ことは、決して特別な対応ではありません。

「相続したくない」が結論なら、無視ではなく相続放棄という正式な手続きを取るのが正解です。放棄をすれば、以後協議に関わる必要も、借金を負う心配もなくなります。

専門家としての見解・アドバイス

【ご相談内容】

突然の相続連絡に関するご相談を数えきれないほどお受けしてきましたが、典型的な失敗は2つあります。1つは、怖くなって手紙を放置し、債権者からの請求が届いてから慌てるパターン。
もう1つは、よく確認せずに言われるがまま実印を押し、後から「取り分が少なすぎた」と気づくパターンです。どちらも、最初の1〜2週間の動き方で防げたケースがほとんどです。
当事務所では、まず手紙の真偽と相続関係の確認から着手し、財産・負債の調査結果をもとに「相続すべきか、放棄すべきか」を数字で判断できる状態にしてからご提案しています。他の相続人との書類のやり取りや事務連絡をサポートすることも可能です。疎遠な親族と直接やり取りしたくない方もご安心ください。

突然相続の連絡が来たら、まず何をすべきですか?

やるべきことは、差出人の確認から相続するかどうかの判断まで5つのステップに整理できます。

STEP 1差出人と手紙の内容を確認する

専門家の登録番号や連絡先を確認し、詐欺でないかを見極めます。返事を急かされても焦らないことが大切です。

STEP 2相続関係を確認する

戸籍謄本を取得し、亡くなった方と自分の関係、他の相続人が誰かを確認します。

STEP 3財産と借金を調査する

預貯金・不動産・株式に加え、借金の有無を信用情報機関(JICC・CIC・全国銀行個人信用情報センター)で調べます。

特に重要なのがSTEP3の財産調査です。故人と疎遠だった場合、財産の全体像を把握しているのは連絡をくれた相手方だけ、ということも珍しくありません。提示された財産目録を鵜呑みにせず、不動産は名寄帳、預貯金は残高証明書といった客観的な資料で裏付けを取りましょう。

STEP 4相続するか放棄するかを判断する

調査結果をもとに、相続を知った日から3ヶ月以内に方針を決めます(民法915条)。

STEP 5協議に参加する、または相続放棄の手続きをする

相続する場合は遺産分割協議へ。放棄する場合は家庭裁判所へ申述します。

3ヶ月という期限から逆算すると、財産調査に使える時間は実質1〜2ヶ月です。調査に時間がかかりそうな場合は、家庭裁判所に申し立てて熟慮期間(考えるための期間)を延長してもらうこともできます。

相続放棄はいつまでにすればよいですか?

相続放棄の期限は、自分が相続人になったことを知った日から3ヶ月以内です(民法915条)。亡くなった日からではなく「知った日」から数えるため、突然の連絡で初めて相続を知った場合は、その連絡を受けた日が起算点になるのが原則です。ただし、具体的な起算点は手紙の内容やこれまでの事情によって変わるため、不安な場合は早めに専門家へ確認しましょう。

手続きは、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄申述書と戸籍などを提出して行います(実費目安:収入印紙800円+郵便切手代。司法書士に書類作成を依頼する場合の報酬目安:10万〜20万円程度)。放棄が受理されると、最初から相続人でなかったことになり、借金の支払い義務も負いません。ただし、本人が連帯保証人になっている場合など、相続とは別の原因による債務は残ることがあります。

3ヶ月を過ぎてしまった場合でも、「借金の存在を知り得なかった」などの事情があれば、例外的に放棄が認められた裁判例があります。期限切れと思ってあきらめる前に、専門家へ相談してみてください。

自分が放棄すると、次の人に連絡が行くことがある

注意したいのは、相続放棄をすると相続権が次順位の親族へ移る点です。たとえば子全員が放棄すると親へ、親も亡くなっていれば兄弟姉妹へと権利が移り、今度はその人たちが「突然の相続連絡」を受け取ることになります。借金が理由で放棄する場合は、次に相続人となる親族へ一言知らせておくと、親族間のトラブルを防げます。

遺産分割協議に参加するときの注意点はありますか?

住宅模型と電卓を前に、スーツ姿の担当者から説明を受けるシニア夫婦

最大の注意点は、内容に納得できないまま署名・押印しないことです。遺産分割協議書にいったん実印を押すと、原則としてやり直しはできません。

  • 自分の法定相続分(法律上の取り分の基準)を確認してから判断する
  • 財産目録や残高証明書など、取り分の根拠となる資料の提示を求める
  • 「ハンコ代」として少額を提示されることもあるが、相場や妥当性は相続分次第。即答しない
  • 不明点があれば、署名前に協議書を専門家にチェックしてもらう

相手方に司法書士や弁護士がついている場合、その専門家は依頼者(他の相続人)側の立場です。あなたの利益を守る視点で確認してくれる第三者を、自分側にも置くことをおすすめします。その専門家は原則として依頼者から依頼を受けて手続きを進めています。あなた自身の利益を守るには、自分側の専門家に相談することが安全です。

ご相談事例

会ったことのない伯父の相続連絡を受けた40代女性のご相談

【ご相談内容】

堺市在住の40代女性。面識のない司法書士事務所から「伯父が亡くなり、あなたが相続人です。協議書への押印をお願いします」という手紙が届き、本物かどうかも分からず当事務所の無料相談へお越しになりました。相続人は甥・姪あわせて4人とのことでした。

【対応結果】

差出人の登録確認と戸籍の調査で、代襲相続による正当な連絡であることをまず確認。財産調査の結果、遺産は預金約1,600万円で負債がないことが分かり、法定相続分どおり4分の1(約400万円)を取得する内容で合意され、当事務所では協議書の内容確認、必要書類の準備、相手方専門家との事務連絡をサポートしました。ご相談から約1ヶ月半で払い戻しまで完了。「直接やり取りせずに済んで安心だった」とのお声をいただきました。

疎遠な親の相続では「相続分の譲渡」も選択肢

協議に関わりたくないものの、借金がなく放棄までは必要ない場合は、自分の相続分を他の相続人へ譲渡する方法もあります。譲渡すれば以後の協議に参加する法的義務はなくなり、有償譲渡なら対価を受け取ることも可能です。ただし、相続分譲渡をしても、債権者との関係では相続債務から当然に免れるわけではありません。借金を負いたくない場合は、相続放棄との違いを慎重に確認する必要があります。相続放棄・協議参加・相続分譲渡のどれが合うかは状況次第のため、判断に迷うときは専門家に選択肢を整理してもらうのが近道です。

突然の相続連絡に関するよくある質問

Q1. 会ったこともない親戚の借金まで相続するのですか?

相続すると借金も引き継ぎますが、相続放棄をすれば一切負いません。期限は相続人になったと知った日から3ヶ月以内です。面識の有無は関係なく法律上の相続人には承継が生じるため、まず負債の調査をおすすめします。

Q2. 司法書士を名乗る手紙が本物か確かめるには?

日本司法書士会連合会の「司法書士検索」で氏名と事務所を確認できます。あわせて、電話番号を自分で調べ直してから連絡すると確実です。先に手数料の振り込みを求める内容であれば、詐欺を疑ってください。

Q3. 印鑑証明書を送ってほしいと言われました。応じて大丈夫ですか?

協議内容に納得してから応じてください。印鑑証明書と実印押印のセットは「協議への合意」を意味します。財産の内訳や自分の取り分を確認しないまま送ることは避け、不安があれば送付前に専門家へ相談しましょう。

Q4. 連絡を無視し続けたらどうなりますか?

家庭裁判所の遺産分割調停に発展し、裁判所から呼び出しを受ける可能性があります。それでも応じない場合は審判で分け方が決められることもあります。相続したくないなら、無視ではなく相続放棄の手続きを取りましょう。

Q5. 相続放棄にはいくらかかりますか?

実費は収入印紙800円と郵便切手代で、数千円程度に収まります。戸籍の取得費用が別途数千円、司法書士に書類作成を依頼する場合は10万〜20万円程度の報酬が目安です。

Q6. 遺産がもらえる場合、受け取ると相続税がかかりますか?

遺産総額が基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超える場合のみ、10ヶ月以内の申告が必要です。甥・姪や兄弟姉妹として相続する場合は、その人の相続税額に2割加算される点に注意してください。

Q7. 協議書に押印した後で、やり直しはできますか?

原則できません。やり直しには相続人全員の合意が必要で、現実には極めて困難です。だまされて押印した、重要な財産が隠されていたなどの事情があれば無効・取消しを主張できる場合があるため、早めに専門家へ相談してください。

まとめ|突然の相続連絡は「確認→調査→3ヶ月以内の判断」で対応

この記事のポイントをまとめます。

  • 突然相続の連絡が来るのは、代襲相続や兄弟姉妹相続などで法律上の相続人になっているため
  • 返事の前に、差出人の実在と相続関係を確認する。実印・印鑑証明書は安易に出さない
  • 無視はリスクしかない。関わりたくない場合は相続放棄という正式な手続きを取る
  • 相続放棄の期限は「相続人と知った日」から3ヶ月以内(民法915条)
  • 協議書への押印前に、財産の根拠資料と自分の取り分を確認する

突然の相続連絡は、誰にとっても初めての出来事で、不安になるのが当然です。ただ、対応の手順さえ間違えなければ、落ち着いて解決できる問題でもあります。やなぎ総合法務事務所では、手紙の真偽確認から財産調査、相続放棄の書類作成、協議のサポートまでを一括で対応し、大阪(天王寺・あべの)と東京(恵比寿・広尾)の2拠点で無料相談を受け付けています。手紙をお持ちいただければその場で内容を確認できますので、お一人で悩む前にお気軽にご相談ください。

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著者情報

代表 柳本 良太

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    <資格>

  • 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
  • 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
  • 2009年 司法書士試験合格
  • 2010年 行政書士試験合格
司法書士法人やなぎ総合法務事務所運営の相続・家族信託相談所