今回は兄弟姉妹間の相続放棄について解説させていただきたいと思います。
兄弟姉妹がお亡くなりになった時、相続放棄をしようと思ったとしても「相続放棄はどうすればできるのか?」という疑問を持つ方は少なくないと思われます。
そこで今回のブログで兄弟姉妹がお亡くなりになった場合の相続放棄の手続きについて解説していきますので、「兄弟間の相続放棄ってどうやる!?どうなる!?」等の疑問を持った方は本ブログを見て頂ければ幸いです。

目次

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1 兄弟間の相続放棄は家庭裁判所へ

相続放棄をしようとする場合、家庭裁判所で手続きをする必要があります。
例えば、相続人で亡くなった方の財産の分配(遺産分割協議)をする際、財産を一切受け取らないことを指して「相続を放棄した」と言われる方もいらっしゃいますが、これはいわゆる「遺産放棄」というもので今回ご説明する相続放棄ではありません。
上述のとおり相続放棄は家庭裁判所で手続きをする必要があるからです。

なお家庭裁判所は全国にありますが相続放棄の手続きは亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所で行う必要があります。例えば亡くなった方の住所地が大阪市の場合、大阪家庭裁判所

(大阪市中央区大手前4-1-13(Osaka Metro谷町線・中央線谷町4丁目駅2番出口から東へ150m))で手続きをする必要があります。詳しくは裁判所のホームページをご覧ください。(https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/index.html

2 兄弟間の相続放棄の手続きの方法

(1)相続放棄申述書

相続放棄をするには家庭裁判所に相続放棄申述書という書面を提出する必要があります。相続放棄申述書の書き方は裁判所のホームページで公開されています。下記は裁判所のホームページで公開されているものと同じものです。

 

 

 

(2)戸籍

相続放棄をする場合、戸籍を家庭裁判所に提出する必要があります。
必要な戸籍は亡くなった方と放棄をしようとする方の関係に応じて変わります。
今回は亡くなった方の兄弟姉妹の方が相続放棄をする場合の必要な戸籍について解説します。亡くなった方の兄弟姉妹の方が相続放棄をする場合の必要な戸籍の一覧は以下のとおりです。

①     亡くなった方の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

②     亡くなった方の直系尊属(父母・祖父母)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(①に②の記載がある場合は別途戸籍を取得する必要はありません。)

③     亡くなった方の子で死亡している方がいる場合、その子の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

④     申述人(放棄する方)の戸籍謄本

⑤     亡くなった方の住民票除票又は戸籍附票

(⑥申述人が代襲相続人(おい、めい)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本)

 

見て頂いた方は「こんなに多くの戸籍を集めなくてはいけないのか」と思われたかもしれません。多くの戸籍がいる理由は法律で兄弟姉妹が相続人になるのは亡くなった方に子・直系尊属(父母・祖父母)がいない場合と決められているからです。上記の戸籍を家庭裁判所に提出するのは亡くなった方に子・直系尊属(父母・祖父母)がいないことを証明するためなのです。

⑥は亡くなった方の兄弟姉妹が亡くなられていて、その兄弟姉妹に子がいる場合かつ相続放棄の申述人になる場合に必要な戸籍です。法律では亡くなった方の兄弟姉妹が亡くなられていた場合、亡くなった方の甥姪が相続します。

なお、亡くなった方の甥姪が亡くなっても甥姪より下の世代は相続人となりません。⑥は亡くなった方の兄弟姉妹が亡くなったことで亡くなった方の甥姪が代襲相続人となったことを証明しています。

 

(3)費用

申述人1人につき収入印紙800円分が必要です。収入印紙は相続放棄申述書に貼り付けます。他にも連絡用の郵便切手が必要ですが各家庭裁判所によって異なります。

 

(4)申述期間

上述の(1)~(3)までが必要書類ですがいつでも相続放棄ができるわけではありません。法律で期限が決められています。法律は自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続放棄をしなければならないとしています。3か月以内に手続きをしない場合は、相続したとみなされるため注意が必要です。

なお、相続放棄の申述期間は延長することができます。詳しくは裁判所のホームページをご覧ください。(https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_25/index.html

 

3 兄弟間の相続放棄をするとどうなる?

(1)相続放棄するとどうなる!?

相続人は、亡くなった方のプラスの財産とマイナスの財産の両方を相続します。相続放棄をした場合、初めから相続人とならなかったものとみなされるため、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。つまり、亡くなった方の預貯金を相続しませんが、借金も相続しません。

 

(2)兄弟姉妹が相続放棄をした場合、その後の財産はどうなるの?

亡くなった方の兄弟姉妹が相続放棄をした場合、亡くなった方の財産は誰が承継するのかという疑問を持つ方がおられると思います。特に自分が放棄したことで自分の下の世代(亡くなった方からみると甥姪)に迷惑がかかるのではないかという心配をされる方もいると思われます。亡くなった方の兄弟姉妹が相続放棄をした場合、下の世代(亡くなった方からみると甥姪)は相続人となりません。

また、亡くなった方の兄弟姉妹が複数人いた場合、その内1人が相続放棄をすると他の相続人が相続しますが、相続人全員が相続放棄をした場合は、法律上の手続きに基づいて特別縁故者(例えば内縁の配偶者)や財産が共有の場合は他の共有者が財産を承継します。上記のような方がいない場合、相続財産は国庫に帰属します。

 

4 まとめ

今回は、兄弟姉妹間の相続放棄についてみてきました。相続に関する手続きは専門性が高く複雑であるため、調査漏れという事態を防ぐためにも、各種専門家にお願いすることが安全であると思われます。

 

司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、相続に関するご相談や、ご依頼を数多く扱っており、実務においても手続きに経験豊富な司法書士、弁護士、行政書士、税理士、土地家屋調査士、相続診断士、CFP 等の専門家がご依頼の内容に全力で取り組みます。

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代表 柳本 良太

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  • 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
  • 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
  • 2009年 司法書士試験合格
  • 2010年 行政書士試験合格
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